トピックスブライアン・メイさんにお会いしました!


イギリスのロックバンド、クイーンのギタリストであり、 また天体物理学の博士でもあるブライアン・メイさんが、日本でのコンサートツアー(1月25日〜30日)で来日されましたが、 その機会にお会いすることができました。
ブライアン・メイさんには、これまで「はやぶさ2」に非常に大きな関心を寄せていただいており、 小惑星リュウグウの立体視画像を作っていただいたり、応援メッセージを送っていただいたりしています。 これまでにいただきました画像やメッセージは、次のリンクをご覧ください。

■リュウグウの立体視の画像:
        リュウグウ全体: http://www.hayabusa2.jaxa.jp/topics/20180704je/index.html
        リュウグウ拡大: http://www.hayabusa2.jaxa.jp/topics/20180731/index.html
        リュウグウ全体: http://www.hayabusa2.jaxa.jp/topics/20190710_Stereo_DrMay/
■応援メッセージ:
        1回目のタッチダウン前:https://www.youtube.com/watch?v=WmPQmVVtE5A
                                                (ビデオの最初から1時間後付近)
        2回目のタッチダウン前:http://www.hayabusa2.jaxa.jp/topics/20190710_Message_DrMay/

今回、来日された機会に、プロジェクトからお礼をしようと、JAXA相模原キャンパスにいらしていただけるか打診をしました。 ですが、相模原キャンパスまで往復するのは難しいということで、諦めていました。 ただ、もしかすると都内で会っていただけるかもしれないということで期待はしていたのですが、 前日になってお会いできる場所の連絡があったのです!

プロジェクトからは、津田プロマネとサイエンスチームのパトリック・ミッシェルさんと筆者(吉川ミッションマネージャ)が、 指定された場所に向かいました。パトリックは、筆者の古い友人で、フランスのニース天文台などで小惑星についての研究活動を 行っています。ブライアン・メイさんとのコンタクトは、パトリックを通して行っています。

部屋の前まで案内されて、そのドアが開くとき、緊張の瞬間でしたが、ブライアン・メイさんが笑顔で我々を迎えてくれました。 まずは、津田プロマネと筆者からこれまでいろいろ協力していただいたことについてお礼を述べましたが、 ブライアン・メイさんからは、「はやぶさ2」ミッションには非常に注目しているし、自分にとっても小惑星リュウグウの画像を 見ることは非常に楽しいという言葉がありました。


写真1:ブライアン・メイさんとの記念写真。左からパトリック・ミッシェルさん、津田プロマネ、
ブライアン・メイさん、 筆者(吉川ミッションマネージャ)。[別ウインドウで開く]
(写真クレジット:はやぶさ2プロジェクト)

その後は、「はやぶさ2」も含めて、いろいろな小惑星ミッションの話や小惑星・彗星と言った太陽系小天体の話が続き、 そしてブライアン・メイさんがこれまで作られた天体の立体視の写真をいろいろと見せていただきました。 その中でも、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)のロゼッタミッションが探査をしたチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の立体視の 画像が圧巻でした。彗星本体の凹凸が非常にはっきり見えただけでなく、彗星から吹き出しているジェットも立体視で みると本当に迫力があります。さらに、日食を見たときの話など、天文や宇宙の話が続きました。

また、JAXAの宇宙教育センターから、「宇宙(そら)のとびら」(http://edu.jaxa.jp/soratobi/) にブライアン・メイさんのインタビュー記事を載せたい ということで、質問をブライアン・メイさんにお送りしていました。さすがにコンサートツアー前ということですから、すぐには回答はいただけないと 思っていました。ところが、その場で回答してもらえるということで、期せずしてブライアン・メイさんへのインタビューも行うことになりました。 「はやぶさ」のイトカワ探査から非常に興味を持っていたということや、科学と芸術はどちらかを選ぶものではなくて両立するということなど、 いろいろ興味深い話がありました。このインタビューについては、「宇宙(そら)のとびら」に掲載される予定です。


写真2:「宇宙(そら)のとびら」編集部からの質問リストに回答するブライアン・メイさん
[別ウインドウで開く](写真クレジット:はやぶさ2プロジェクト)

リラックスしていろいろ話しているうちに3時間くらい時間が経ってしまいましたが、なんとロックや音楽の話はほとんどしませんでした。ただ、津田プロマネが壁際に置いてあったエレキギターについて質問すると、そのエレキギターは練習用で、コンサートの前にはいつも指を動かす練習をしているということでした。 そして、その場でいくつかの曲のフレーズをパラパラと弾いてくれました!

最後に、津田プロマネが「はやぶさ2」のジャケットを持ってきたので、そのジャケットを着てツーショットの写真を撮ってもらってもよいかと聞くと、快く了解していただきました。超スーパースターなのに、非常に気さくです。

写真3:「はやぶさ2」のジャケットを着てブライアン・メイさんとのツーショット
(写真クレジット:はやぶさ2プロジェクト)

我々がブライアン・メイさんにお会いしたのは、日本での一連のコンサートツアーの直前でしたが、このツアーの合間の時間で新たな立体視の写真をつくったということで画像をいただきました。「はやぶさ2」がリュウグウから出発したとき(2019年11月13日)の画像を用いたものです。プロジェクトからは、 「さよなら、リュウグウ!」 として画像を公開してありますが、この出発時付近の画像を利用して立体視に加工したものです。


写真4:ブライアン・メイさんによる「さよなら、リュウグウ」の立体視画像。 [別ウインドウで開く]
(写真クレジット:JAXA, 千葉工大, 東京大, 高知大, 立教大, 名古屋大, 明治大, 会津大, 産総研,
     立体視:ブライアン・メイ)

この立体視の画像を受け取ったのは1月27日です。日本でのコンサートツアーの最中に作成するとは余裕ですが、それだけ宇宙が好きなのですね。ブライアン・メイさんに「はやぶさ2」プロジェクトに色紙も書いていただきました。

写真5:「はやぶさ2」プロジェクト宛てにいただきましたブライアン・メイさんの色紙
[別ウインドウで開く]
(写真クレジット:はやぶさ2プロジェクト)

お会いしたブライアン・メイさんは、ステージで見る非常にエネルギッシュなブライアン・メイさんとは違って、穏やかで好奇心に満ちた天体物理学者の顔のブライアン・メイさんでした。今思うと、クイーンやロック、そしてボヘミアン・ラプソディーの映画などいろいろ聞いておけばよかったと思いますが、お話ししているときには、宇宙の話題しか頭になかったです。

デビューから50年近くにもなるのに、いまだに超人気で、エネルギッシュに音楽活動しながら、宇宙や地球を愛し、動物愛護運動もしているブライアン・メイさんにお会いすることができて、我々も新たな元気をもらいました。

さあ、Let's ROCK ON!



※ここに掲載されています記事、写真、画像につきましては、公開することをブライアン・メイさんから快諾していただいています。

吉川 真(はやぶさ2プロジェクト)
2020.2.3