イギリスのロックバンドのクイーン(Queen)のギタリスト、ブライアン・メイ(Brian May)さんに、「はやぶさ2」の望遠の光学航法カメラ(ONC-T)が撮影した画像より小惑星リュウグウの立体視画像を作成していただきました。ブライアン・メイさんは、ロンドンのインペリアル・カレッジで天体物理学の博士の学位も取得されていて、天文学者でもあります。さらに、ブライアン・メイさんは天体の地球衝突問題(プラネタリー・ディフェンスないしスペースガード)にも非常に関心を持たれており、3年ほど前から始まった アステロイド・デイ(Asteroid Day)という活動の中心メンバーの一人にもなっています。
アステロイド・デイとは、6月30日(1908年のツングースカ大爆発が起きた6月30日に因んだ日)に、世界的に天体の地球衝突問題について考えようという運動です。このアステロイド・デイについては、国内では日本スペースガード協会やJAXAのメンバー等が協力をしてきました。特に日本の「はやぶさ」や「はやぶさ2」のミッションの探査対象天体のイトカワやリュウグウはまさに地球に接近する天体ですので、プラネタリー・ディフェンスからも注目されています。ブライアン・メイさんは天体を立体視する画像をこれまでも作成されていて、今回、是非、リュウグウの立体視画像を作りたいという希望がはやぶさ2プロジェクト側に伝えられました。
ブライアン・メイさんとは、はやぶさ2プロジェクトのメンバーでもあるフランス、コートダジュール天文台のパトリック・ミッシェル(Patrick Michel)さんに対応をしていただきました(図1)。パトリック・ミッシェルさんによると、画像を受け取った時にブライアン・メイさんは非常に喜んで、あっと言う間に立体視の画像を作成されたということです。
では、ブライアン・メイさんによるリュウグウの立体視の画像を示します(図2)。これは、リュウグウについて最初の立体視の画像です。うまく立体視ができると、リュウグウの全体の形だけでなく表面の凹凸もよく分かると思います。
もし、立体視がうまくできない場合には、次の図3はいかがでしょうか? この図はブライアン・メイさんによる画像を赤・青として重ねたものです。山田陽志郎さんに作成していただきました。赤青立体メガネ(右目が青、左目が赤)で見ると、立体的に見えると思います。
ブライアン・メイさんからはビデオもいただいています(図4)。ビデオでは、ブライアン・メイさんが作った立体視画像について説明がなされています。
リュウグウが立体的に分かると、さらに面白さが増してくると思います。はやぶさ2プロジェクトでは、今後、早急にリュウグウの立体モデルを作るなど、リュウグウについての各種の解析を進めて行く予定です。
謝辞:ブライアン・メイさんには、写真、画像、ビデオなどの掲載を快諾していただきました。また、パトリック・ミッシェルさんには、ブライアン・メイさんとのコンタクトやデータのやり取りにご協力いただきました。お二人に感謝いたします。
はやぶさ2プロジェクト
2018.07.04