ミッション

「はやぶさ2」は、「はやぶさ」後継機として小惑星サンプルリターンを行うミッションです。「はやぶさ」は世界で初めて小惑星からその表面物質を持ち帰ることに成功しましたが、そのミッションには多くのトラブルがありました。「はやぶさ2」では、「はやぶさ」の経験を生かして、よりトラブルの少ない確実なミッションを目指します。そして、「はやぶさ」が探査した小惑星イトカワ(S型)とは別の種類の小惑星(C型)を探査することにより、惑星の起源だけでなく地球の海の水の起源や生命の原材料をも探求するミッションになります。

  • 「はやぶさ」から「はやぶさ2」へ
    「はやぶさ2」探査機の構成は「はやぶさ」に似ているが、「はやぶさ」の経験を踏まえて、大幅に改良されたものになっている。

「はやぶさ2」は、基本的には「はやぶさ」で行ったミッションを踏襲します。ただし、より確実にミッションを行えるよう、信頼性を高める様々な改良が加えられています。またその一方で、小惑星表面に人工的なクレーターを作り、地下のサンプルを持ち帰るといった、新しい技術にも挑戦していきます。太陽系天体探査技術を向上させることも、「はやぶさ2」の重要な目的です。

  • S型小惑星からC型小惑星へ
    「はやぶさ」が探査した小惑星イトカワはS型に分類される小惑星であるが、「はやぶさ2」が探査を行う小惑星リュウグウはC型に分類されている。C型小惑星には、水や有機物が多く含まれていると考えられている。

「はやぶさ2」が目指す小惑星は、(162173)リュウグウです。リュウグウはC型の小惑星ですが、太陽系が生まれた頃(今から約46億年前)の水や有機物が、今でも残されていると考えられています。地球の水はどこから来たのか、生命を構成する有機物はどこでできたのか。そのような疑問を解くのが「はやぶさ2」の目的です。また、最初にできたと考えられる微惑星の衝突・破壊・合体を通して、惑星がどのように生まれたのかを調べることも「はやぶさ2」の目的です。つまり、「はやぶさ2」は、太陽系の誕生と生命誕生の秘密に迫るミッションなのです。

「はやぶさ2」は2014年12月3日に打ち上げられました。2015年12月3日の地球スイングバイを経て、2018年6月27日に小惑星リュウグウに到着しました。そして、2019年末にリュウグウを出発し、2020年末に地球に帰還する予定です。「はやぶさ2」の新たな挑戦により、太陽系天体への往復探査技術を確実なものにするとともに、太陽系誕生や生命誕生の秘密にさらに近づくことができると期待しています。