No.1 : 地球は動いている
  R-144(地球帰還まであと144日)【カウントダウン開始!】


こんにちは、大川です。私は宇宙科学研究所のアウトリーチ活動に携わっており、この7月からは科学広報担当でもあります。「はやぶさ2」地球帰還日まであと5か月を切り、毎日毎日、何かしら「はやぶさ2」関連の相談や対応案件が舞い込んできています。

私のすぐ近くで起こっている「はやぶさ2」プロジェクトの動きとしては、いま大きく3つあります。ひとつは、「はやぶさ2」を地球に帰還させる探査機運用です。地球と探査機との距離は1億km以下となりました。運用チームにとっては「近づいてきたなあ」と感じるとのこと。復路の第2期イオンエンジン運転の期間中で、計画した軌道からのずれを小さく保つよう、イオンエンジンの運転台数や、オン・オフの時刻を正確に決め、運用担当者がその通りに稼働させる日々が続いています。

2つめは、再突入カプセル回収のための準備です。来る12月6日、探査機本体から分離したカプセルが地球の大気圏に再突入し、オーストラリアの砂漠地帯に着地する予定です。広大な砂漠の中で確実にカプセルを見つけて回収するためには、事前に「起こるかもしれないこと」を想定してその対応方法を決めておく必要があります。カプセル回収計画の打ち合わせでは、関係者がお互いに質問をしあい、誰がいつまでにその回答を用意するかというチェックリストが作られて、念入りな確認が行われています。10年前の「はやぶさ」のカプセルの回収経験も活かされて、人や物の動きも細かく検討されています。

3つめは、カプセル帰還後、カプセルに入っているであろうリュウグウの物質を扱うための準備です。相模原キャンパスには地球外試料キュレーションセンターがあり、特別な設備の中でリュウグウから持ち帰る試料(サンプル)の処理や分析が行われる予定です。つい先日も、サンプルの初期記載に使われる近赤外分光顕微鏡マイクロオメガがフランスから成田経由で運ばれてきて、無事に到着したところに立ち会いました。

これらのほか広報・アウトリーチ関係も動いています。「はやぶさ2」に関連するJAXA外からの問い合わせも増えてきました。報道関係、出版関係、自治体、各地の博物館、学校からも様々なご希望が届き、地球帰還へ向けて多くの人が動き出しています。地球帰還を待っている、というよりも、その日へ向けていくつものチームが動いていて、地球ではいよいよカウントダウンが始まった、という感じがします。

大川拓也
2020.07.15

《関連情報》
小惑星探査機「はやぶさ2」のカプセル帰還に関する豪州宇宙庁(ASA)との共同声明の発表について(2020.07.14)
https://www.jaxa.jp/press/2020/07/20200714-1_j.html

近赤外分光顕微鏡マイクロオメガが相模原に到着!!(2020.07.06)
http://www.hayabusa2.jaxa.jp/topics/20200706_MicrOmega/

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