「はやぶさ2」は2026年7月5日に、小惑星トリフネのフライバイ探査を行います。フライバイ探査とは、天体に接近しながらその天体を調べることです。 天体に到着して探査をするランデブー探査に比べると得られる情報量がかなり少ないことになりますが、ランデブーに比べると手軽に行うことができますし、目的地に到着するまでについでに探査を行うことができるなどのメリットがあります。
フライバイ探査ではどのくらいの速度で天体とすれ違うかが重要です。「はやぶさ2」のトリフネフライバイの場合には、相対速度約5km/sですれ違います。小惑星トリフネの大きさは500m程度と推定されていますので、 「はやぶさ2」はわずか0.1秒ですれ違うことになります。例えば、ピストル(拳銃)の弾(たま)の速度が音速(秒速約340m)くらいと言われていますので、5km/sという速さはピストルの弾の10倍をはるかに超えるスピードなのです。
このスピードを体験できるアプリを、フリーライター/エンジニアの大塚実さんが開発されました。Webとスマホのアプリがあります。是非、このアプリでスイングバイを体験してみてください。
■トリフネフライバイのWebアプリ https://o-tsuka.net/haya2flyby/
このアプリ(図1)では、フライバイの時の最接近距離を、100km、10km、1km、200m、0mと変えることができます。また、マウスで見る方向を変えたり、拡大・縮小したりすることができます。最初は、1kmを選んで、画面は動かさずに動作を確認してみるのがよいでしょう。右上に四角の枠で示されているものは「はやぶさ2」の望遠の光学航法カメラ(ONC-T)での撮影を模擬した画像で、枠の色が緑のときにはトリフネがカメラの視野に入っていますが、トリフネが視野の外に出てしまうと枠の色が赤になります。小惑星に動きに慣れたら、他の接近距離を選んでみてください。特に100kmになると小惑星を発見するのがかなり難しいかもしれません。0mでは大変なことになります。なお、左上の「Cam Lock」のボタンを押すと、画面の中心にトリフネがくるように画面の方向が自動で動きます。

図1 トリフネフライバイのWebアプリの画像(©大塚実)
■トリフネフライバイのスマホアプリ

スマホ版のアプリ(図2)では、スマホの向きを変えることによって、トリフネを画面から外さないようにするゲームになっています。カメラで小惑星を観測できた時間の長さがスコアになります。中心に四角が表示されますが、この四角の色が緑色の時はその四角の中にトリフネが写っています。 赤色のときには、トリフネは四角の外にいることになります。スマホをいろいろな方向に向けてみて、四角が緑色になるところを探してみてください。赤い四角のときに四角の辺のどれかに矢印が表示されますので、矢印の方向にスマホを動かしてみてください。
フライバイの距離はアプリ版と同じ5種類あります。距離のボタンを押すと動き出します。なお、Modeというボタンがありますが、これをFreeとするとスマホの向きと画面の向きが連動します。ModeをRealとしますと実際に探査機の姿勢変更ができる速度に制限されるので、スマホの向きを急に変えても、画面の方は追随しないことになります。「はやぶさ2」のフライバイ探査では、実際には探査機の向きはほとんど変更しませんので、実際の探査機からどのように見えるのかはModeをRealにして試してみてください。 このアプリは、AndroidとiPhoneに対応していますが、機種によっては正常に動かないこともありますのでご了承ください。

図2 トリフネフライバイのスマホアプリの画像(©大塚実)
大塚実さんは、さらに「はやぶさ2」探査機の軌道を表示するアプリ(図3)の作成もされています。
https://o-tsuka.net/haya2tour/

図3 「はやぶさ2」の軌道表示のWebアプリの画像(©大塚実)
こちらにつきましては、使用法はYouTube(https://youtu.be/cqA6eXhtaBo)の説明欄をご覧ください。
トリフネフライバイにつきましては、大塚さんがVR版も作製されています。VR版では3Dゴーグルを使用して立体的に見ることができます。
今後、科学館等とも協力しまして、皆さんにトリフネフライバイをよりリアルに体験していただくことを計画しています。(VR:バーチャルリアリティー)
謝辞
アプリを作成していただいた大塚実氏に感謝いたします。
はやぶさ2拡張ミッションチーム
2026.3.30

