文部科学大臣表彰は、文部科学省が「科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者について、その功績を讃えることにより、科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、 もって我が国の科学技術水準の向上に寄与すること」を目的として、科学技術分野の表彰を行っているものです。 令和6年度、「はやぶさ2」のメンバーが文部科学大臣表彰 科学技術賞(開発部門)を受賞しました。
受賞対象となった「はやぶさ2」の成果は、「着陸及び地下物質採取を含む自在な小天体探査技術の開発」です。「はやぶさ2」では、小惑星探査に必要となる小惑星への往復探査技術、科学観測装置やローバ・ランダ技術の向上を試みたことに加えて、タッチダウンにおいては人工航法標識を用いたピンポイント着陸技術を、地下物質採取のためには人工クレーター生成技術を実現しました。これらの技術によって、小惑星の2地点への着陸とサンプル採取に成功し、地下物質を含む5.4gの物質を地球に帰還させることに成功しました。そして、観測データおよびサンプルの分析によって、太陽系形成史と地球における水・生命の起源解明に係る科学に貢献しました。 また、太陽系探査技術の向上や大規模科学プロジェクトのマネジメント技術の発展にも寄与しました。以上のことが評価されて今回の受賞となりました。
受賞式は、2024年4月17日に文部科学省で行われました。はやぶさ2プロジェクトからは、津田、佐伯、中澤、吉川(以上JAXA)、渡邊(名古屋大学)の5人のメンバーが出席しました。参加メンバーのコメントです:
・はやぶさ2の成果を評価いただいた皆様方に感謝します。はやぶさ2の小さな一歩が、人類の大きな跳躍へ活かされることを願います。(津田 雄一)
・探査機の開発と運用をチーム一丸で達成した成果です。この技術とチーム力を途絶えさせないでこの先に繋げていきたいと思います。(佐伯 孝尚)
・プロジェクト立上げから開発・運用・地球帰還・カプセル回収の一連一体の成果が評価されました。代表者が受け取りましたが、チーム全体の活動の賜物です。お疲れ様でした。(中澤 暁)
・はやぶさ2が成し遂げたことに対して高く評価していただいたことは喜ばしい限りです。今後の更なる発展に繋がっていくことを期待しています。(吉川 真)
・はやぶさ2の自在な探査技術によって、観測やその場計測、衝突実験、さらには試料採取と帰還が達成され、惑星形成過程を制約する多くの成果を生んでいることは素晴らしいと思います。(渡邊 誠一郎)
「はやぶさ2」は、2020年12月に地球に小惑星リュウグウのサンプルを届けた後、運用を延長してミッションを継続しています。延長したミッションを「はやぶさ2拡張ミッション」と呼んでいますが、さらなる挑戦を行っています。今後も、新たな技術開発や科学研究を進めて行く所存です。
参考:
JAXA宇宙科学研究所Web記事:
https://www.isas.jaxa.jp/topics/003725.html
HIGHLIGHTING Japan VOL.195 AUGUST 2024の記事:
日本語 https://www.gov-online.go.jp/hlj/ja/august_2024/august_2024-09.html
英語 https://www.gov-online.go.jp/hlj/en/august_2024/august_2024-09.html
追加情報:
令和6年度 文部科学大臣表彰では、JAXA宇宙科学研究所から鳥海 森准教授が「若手科学者賞」を受賞されましたので、受賞式でははやぶさ2メンバーとご一緒させていただきました。鳥海准教授からのコメントです:“太陽系最大の爆発現象「太陽フレア」や「太陽黒点」について研究を行い、このたび若手科学者賞をいただきました。はやぶさ2#チームの皆さんとは、表彰式の会場で交互に記念撮影をさせていただき、素敵な時間を共有することができました。”
はやぶさ2拡張ミッションチーム
2024.9.2