トピックス小惑星2001 CC21による掩蔽観測:続報

2023年3月6日の記事で、「はやぶさ2」がフライバイ探査を行う小惑星2001 CC21(以下、CC21と記載)による掩蔽(恒星食)が観測されたことを報告しましたが、その後、より正確な情報や、新たな軌道解析結果が出ました。

まず、観測地点数ですが、その後新たな報告がありましたので、合計20地点となりました。ただし、掩蔽が観測されたのは前回の記事で報告した井田三良氏による1カ所だけです。また、井田三良氏が取得した掩蔽のデータについて、解析ソフトを開発した宮下和久氏が再解析したところ、恒星が隠されていた時間(掩蔽の時間)は0.105秒であるということです。これは、長さにすると449m ±12mとなります。

改訂されたライトカーブ計測の図を下に示します(図1a、1b)。また、小惑星の形を直径450mの円形とした場合の整約図を図2に示します。CC21は少し細長い形状をしているのではないかと言われており、今回の観測では短い部分が測定されたのかもしれません。

さらに、今回の観測を使って、CC21の軌道の推定も行われました。その結果、今年の2月14日の時点では掩蔽帯の幅(1σの誤差範囲)は±8.5kmでしたが、3月5日の掩蔽観測によってこの誤差が±2.0kmまで縮小しました(早水勉氏による)。つまり、次に掩蔽が起こるときには、かなり高い確率でCC21が恒星を隠す現象を捉えることができそうです。また、はやぶさ2探査機がフライバイする2026年7月の時点でのCC21の軌道精度も調べてみると、CC21の位置誤差が47km(1σ)であることが分かりました。掩蔽のデータを考慮しないとこの誤差は82kmでしたので、掩蔽観測によって小惑星の位置誤差がかなり縮小したことになります。この小惑星の位置誤差の計算は、Davide Farnocchia氏(JPL/Caltech)によるものです。

まだCC21による掩蔽観測の機会がありますので、次回の観測で恒星食が観測されることを期待しています。


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図1a 恒星の明るさの変化(ライトカーブ)のデータと減光の瞬間の測定。改訂版。
(©井田三良・宮下和久)


図1b 恒星の明るさの変化(ライトカーブ)のデータと復光の瞬間の測定。改訂版。
(©井田三良・宮下和久)


図2 整約図。一つの掩蔽のデータだけでは小惑星の形(一つの断面の形)は分からないので、この図は小惑星の形として仮に直径450mの円形をあてはめている。(©早水勉)


はやぶさ2拡張ミッションチーム
2023.3.14