「はやぶさ2」が2020年12月に地球にカプセルを届けてから、すでに2年が経ちました。想定されていた年数は過ぎていますが、はやぶさ2探査機は順調に飛行を続けています。 次の大きなイベントは、2026年7月の小惑星2001 CC21のフライバイ探査です。2001 CC21は、いったいどのような小惑星なのでしょうか。 2023年初め、この2001 CC21の観測好機となります。
小惑星2001 CC21の観測キャンペーンを行います!
2001 CC21の観測キャンペーンを行います。図1に、2023年3月末までの2001 CC21の位置を示します。2001 CC21の明るさですが、2023年初めでは約18等、そして2月の初めくらいには16等くらいまで明るくなりますが、3月末には20等くらいまで暗くなってしまいます。かなり暗いですから、ある程度以上の口径の望遠鏡があり慣れた方でないと観測は難しいと思います。 そのような方は観測の仕方はご存じでしょうから、ここでは観測の方法については割愛します。
2001 CC21の撮影に成功しましたら、画像を日本公開天文台協会にお送りください。観測を成功された方には、はやぶさ2拡張ミッションからささやかな記念品をお送りいたします。
このキャンペーンは、2022年12月27日から2023年3月末までを目処に行いますが、2023年4月以降でも観測が成功したら画像を送って下さい。
※小惑星2001 CC21の観測キャンペーンは、日本公開天文台協会、日本惑星協会、そしてJAXAはやぶさ2拡張ミッションの共同で行っています。画像の送付方法など詳しくは日本公開天文台協会のWeb(https://www.koukaitenmondai.jp/campaign/2001CC21_2023.html)に掲載されています。
掩蔽観測に挑戦しよう!
さらに上級者向けの観測もあります。それは、掩蔽観測というものです。小惑星が恒星の前を通過すると、その恒星を隠すことになります。そのときに、その恒星の明るさが暗くなるわけですが、その暗くなった時刻を正確に計測する観測が掩蔽観測です。 これは、恒星の光によってできる小惑星の影が地上を通過する時刻を測定することになりますが、複数の異なる場所で観測が成功すれば、小惑星の影の形が分かり、小惑星の大きさや形を推定する情報にもなるわけです。
2001 CC21による掩蔽観測については、早水勉氏(HAL星研)のWeb
http://hal-astro-lab.com/asteroid/2303_2001CC21_index.html
に詳しい情報が掲載されています。掩蔽が観測できる場所(図2参照)や日時、観測の仕方、観測結果の報告についても説明されていますのでご参照ください。
なお、掩蔽観測については、吉田二美氏(産業医科大学/千葉工業大学惑星探査研究センター)がリーダーの「プロ・アマ共同掩蔽観測チーム」にご協力をお願いしています。
掩蔽観測についての問合せや観測結果の報告は、2001cc21_occult@googlegroups.comまでお願いします。また、この掩蔽観測につきましては、「星ナビ2023年2月号」(アストロアーツ)および「月刊天文ガイド2023年2月号」(誠文堂新光社)に記事が掲載されています。
図2 小惑星2001 CC21による恒星食帯。恒星食帯の幅はわずか600 ~ 700mしかなく、このマップでは線の太さほどしかない。緑線は誤差(1σ)で、この範囲内で68.2%の確率で星食が起こる。(©早水勉)
2001 CC21が恒星を隠す時間は0.1秒程度とまばたきと同じくらいの時間、恒星の明るさが暗くなるだけですので、観測は非常に難しく、適切な観測装置セット(CMOSカメラやGPS受信機など)が必要です。詳しくは 2001cc21_occult@googlegroups.comまで問い合わせください。また、その現象が本当に見られる地域は幅600mから700m程度の非常に狭いベルト状の範囲(恒星食帯)ですが、そのベルトの位置の誤差は実際に現象が見られる幅の10倍以上あります。1月から3月にかけて観測を継続し、恒星食帯の正しい位置を追い込んでいく必要があります。ですから、観測成功のためには、多数の観測者が必要になります。
是非、多くの皆さんが観測に挑戦してくだされば幸いです。掩蔽観測に参加していただいた方にも、はやぶさ2拡張ミッションからささやかな記念品をお送りいたします。
はやぶさ2拡張ミッションチーム
2022.12.27