トピックス天の川の中心付近を撮影しました

7月7日は七夕です。ですが、もともとの七夕の行事は、旧暦(太陰太陽暦)の7月7日に行われていました。
今年の暦ですと、8月25日になります。太陰太陽暦にもとづく七夕のことを「伝統的七夕」と呼びます。
ここでは、今の暦での7月7日の七夕にちなんで、「はやぶさ2」が撮影しました天の川の 画像をご紹介します。(これは、以前にツイッターでは公開したものです。)

今年の4月6日、望遠の光学航法カメラ(ONC-T)のチェックのために星空の撮影を行いました。
これは、可能な時にときどき行っている作業なのですが、4月6日の撮影では、天の川のきれいな写真を撮ることができました。(図1)。



図1 ONC-Tによって撮影された天の川。撮影日時は、2020年4月6日9時10分頃(日本時間)。
(画像クレジット:JAXA/産総研/東京大/高知大/立教大/名古屋大/千葉工大/明治大/会津大)



天の川なので星がたくさん写っています。ONC-Tの露出時間は最長の178秒で、図1に示した範囲は約6.3度四方になります。何等星まで撮影されているのかの詳しいチェックは行っていませんが、ONC-Tでは12等星くらいまで撮影可能です。今回は、wideバンドという最も広い波長域の光を取り込むフィルターを使って、最長露光時間の設定で観測をしました。この設定は、2018年2月に130万kmの距離からリュウグウの光を初めて捉えたファーストライトと同じでした(http://www.hayabusa2.jaxa.jp/topics/20180301/)。あれから2年間は激動の毎日でした。

さらに、図1の写真に青い色を付けて、アーティスティックな画像にしてみました(図2)。写真は図1と同じなのですが、ちょっと雰囲気が変わって見えますね。




図2 ONC-Tによって撮影された天の川の写真(図1)に青い色を付けた画像。
(画像クレジット:JAXA/産総研/東京大/高知大/立教大/名古屋大/千葉工大/明治大/会津大)



さて、この写真、天の川のどこを撮影したものか分かりますか? ツイッターでこの画像を公開したときに皆さんに質問をしたのですが、ぴたっと言い当てている方が何人もいらっしゃいました。回答は図3のようになります。へびつかい座のつま先付近でした。





図3 ONC-Tによる撮影領域。□で囲まれた領域が図1、図2の撮影範囲である。
(ステラナビゲータで作成)



図1、図2において、左右中央の上の方に明るい星が見えますが、これがへびつかい座θ星になります。左側にいて座、右側にさそり座がある領域で、天の川銀河(銀河系)の中心付近です。ですから、天の川の中でも最も星が多く見える領域になります。

「はやぶさ2」から見れば四方八方すべての方向に星が見えるわけで、「はやぶさ2」が星々に包まれて地球を目指していることが目に浮かんでくるようです。地球帰還まであと少し!

※この記事につきましては、ONCチームの神山徹氏(産業技術総合研究所 主任研究員)と杉田精司氏(東京大学 教授、ONCチームPI)にご協力をいただいています。

はやぶさ2プロジェクト
2020.07.06