トピックス「タッチダウンのためのターゲット
マーカ投下運用」(PPTD-TM1)について

2回目のタッチダウンを行うかどうかはまだ決まっていませんが、タッチダウンを行うための準備は行います。その最初の運用として、ターゲットマーカを分離する運用を行います。運用の名称は、PPTD-TM1(ピンポイントタッチダウンのためのターゲットマーカ投下運用)です。当初の計画では、衝突装置(SCI)で生成したクレーター付近にタッチダウンを行うときにピンポイントタッチダウンを行うことにしていました。ですから、運用名がPPTD(ピンポイントタッチダウン)になっています。実際には、1回目のタッチダウン(2019年2月22日)ですでにピンポイントタッチダウンを行っていますが、運用名は当初に決めたものをそのまま使っています。

今回の運用では、S01領域へタッチダウンをすることを想定して、S01エリアにターゲットマーカを降ろすことを試みます。S01とは、今年の3月、4月の降下運用で観測を行ってきたところです。場所は図1に示します。

また、S01領域付近を拡大した画像が、図2です。S01領域は、SCIが衝突した場所の近くにあります。図2で、SCIが衝突した付近がC01、また、L14は2回目のタッチダウン候補としてSCI衝突地点付近で新たに抽出された場所です。黄色い円がタッチダウン候補地点です。この円の大きさは直径が6mから12mくらいです。今回は、これらの中からS01領域にターゲットマーカを投下することにしました。


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    図2 SCI衝突地点付近のようす(画像は衝突前に撮影したもの)。
    (図のクレジット:JAXA、東京大、高知大、立教大、名古屋大、千葉工大、明治大、会津大、産総研)

PPTD-TM1運用は2019年5月14 日〜16日に行います。14日は降下準備作業を行います。そして、5月15日の12:31(機上、日本時間、以下同様)から、探査機は0.4m/sの速度で降下を開始します。同日の22:51には速度を0.1m/sに減速します。そのまま降下を続けて、5月16日の11:25に高度約35m、そして11:42に最下点である高度約10mに達します。最下点に達する直前にターゲットマーカを分離します。探査機はすぐに上昇に転じ、5月17日にホームポジションに戻ります。運用のスケジュールを図3に示します。なお、ここに記載した時刻は計画値ですので、実際の運用の時刻は異なる場合があることにご注意ください。


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    図3 PPTD-TM1運用の模式図(図のクレジット:JAXA)。
    注)ここに記載した時刻は、実際の運用と異なる場合がある。

図4には、低高度でのシーケンスを示します。今回は、レーザレンジファインダ(LRF)で距離計測は行いますが、LRFのデータは探査機の制御には使いません。1回目のタッチダウンの後、LRLの性能が変化している可能性があるので、まずはその確認を行います。距離計測は、レーザ高度計(LIDAR)のみで行います。上昇のときに少しジグザグしながら上昇しますが、これは、視差をつけることで表面の立体的な情報を取得するためです。


はやぶさ2プロジェクト
2019.05.15