トピックス探査機から分離していくMASCOTの
撮影に成功!

10月3日に、ドイツ・フランスによって開発された小型着陸機MASCOTの分離運用を行い、無事にリュウグウ表面に届けることができました。その後、MASCOTはリュウグウ表面で科学データを取得し、そのデータは探査機経由でMASCOTチームに伝送されています。今後、MASCOTチームによって科学的な解析がなされるものと思います。

探査機からは、3つの光学航法カメラ(ONC-T、ONC-W1、ONC-W2)を用いて、分離されたMASCOTを撮影する試みを行いました。画像データを探査機から取得したところ、ONC-W1とONC-W2で撮影された画像にMASCOTが写っていることが確認されました。

図1は、分離直後にONC-W2によって撮影されたMASCOTです。連続的に撮影された画像のうち3枚にMASCOTが撮影されていましたのでそのアニメーション動画になっています。撮影時刻は、10月3日の10:57:54〜10:58:14(日本時間)ですが、分離時刻が10:57:20ですから、分離直後に撮影されたものです。ONC-W2は探査機の側面に付いているカメラで探査機から斜め下方向を撮影しています。そのために、リュウグウ表面を背景にしてMASCOTが降下していくようすが分かります。特に3枚目の画像にははっきりとMASCOTが撮影されています。


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    [別ウィンドウで開く(1)] [(2)] [(3)] 図1 広角の光学航法カメラ(ONC-W2)で2018年10月3日、10:57:54~10:58:14(日本時間)に撮影された3枚の連続画像。画像上辺にMASCOTが写っている。
     1枚目 10:57:54
     2枚目 10:58:04
     3枚目 10:58:14
    (画像クレジット※1:JAXA, 東京大, 高知大, 立教大, 名古屋大, 千葉工大, 明治大, 会津大, 産総研)

また、図2には、ONC-W1で撮影されたMASCOTの画像を示します。こちらは、10月3日の10:59:40(日本時間)での撮影ですので、分離されてから2分20秒後の撮影になります。ONC-W1は探査機底面に付いていますので、探査機から見ると真下を撮影していることになります。この時点で探査機は少し上昇しています。まだ着地していないMASCOTが白い点で、またリュウグウ表面にはMASCOTの影が黒い点で映っています。そばには、「はやぶさ2」の影もあります。


  • [別ウィンドウで開く(拡大)] 図2 広角の光学航法カメラ(ONC-W1)で2018年10月3日、10:59:40(日本時間)に撮影された画像。画像を拡大すると白い点と黒い点が見える。それぞれ降下中のMASCOT本体とその影に対応している。MASCOT像の右下の大きな影は、はやぶさ2本体の影である。
    (画像クレジット※1:JAXA, 東京大, 高知大, 立教大, 名古屋大, 千葉工大, 明治大, 会津大, 産総研)

図2でMASCOTの白い点を拡大してみると黒い四角の中に白い丸い点があるようにみえます。これは、MASCOTの底面が見えていると考えられます。図3はMASCOTの底面の写真です。図2のMASCOTの拡大写真と比べると、白く光っているものがアンテナだと思われます。

図2の写真に映っているMASCOTの高度は、約35m(※2)と推定されています。その後、MASCOTはリュウグウ表面に降りて、約17時間に渡って動作し、探査機にデータを送ってきました。なお、MASCOTが着地した地点も図4のように推定されています。


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    図4 推定されたMASCOTの着地地点。 (上)地図上に記した位置。(下)ホームポジションから見たリュウグウ(7月11日の記事)に記した位置。
    (画像クレジット※1:JAXA, 東京大, 高知大, 立教大, 名古屋大, 千葉工大, 明治大, 会津大, 産総研)

※1:画像を引用する場合にはクレジットを記載してください。もしクレジットの短縮が必要な場合は「JAXA、東大など」と表記してください。

※2:降下中のMASCOTの高度は、ONCチームの立教大メンバー(学生を含む)によって推定されました。


はやぶさ2プロジェクト
2018.10.05