2018年6月3日にイオンエンジンの運転が終わり、小惑星への最終の接近誘導航法が始まりました。ここでは、小惑星を光学航法カメラで撮影することで、探査機とリュウグウの軌道を正確に推定しながら接近する光学電波複合航法(略して光学航法)を用いています。
光学航法のためにONC-T(望遠の光学航法カメラ)で撮影した画像を示します(図1)。この写真は、6月6日の04:15(日本時間)頃に、探査機から見て想定されるリュウグウの方向を撮影したもので、リュウグウが非常に明るく撮影されています。これは背景の恒星を撮影するために露出時間が178秒と長いためです。そのために、リュウグウの光がにじんだり放射状にのびる線を生じたりしています。このときのリュウグウの明るさは約-5等です。
リュウグウそのもをきちんと撮影するためには露出時間を短くする必要があります。図2の右は、ほぼ同じ時間に露出時間を約0.09秒として撮影したものです。背景の恒星は全く写らずに、リュウグウだけが点として撮影されています。そのリュウグウの部分を拡大したものが図2の左側で、直径が3ピクセル程度の像となっています。
この撮影の時の探査機からリュウグウまでの距離は約2600kmでした。ONC-Tの画像では1ピクセルが約22秒角になります。すると、図2で1ピクセルの長さは約0.3kmに相当します。まだ小惑星の形は分かりません。
今後、「はやぶさ2」はリュウグウにどんどん接近していきます。どのようなリュウグウが見えてくるか非常に楽しみです。
はやぶさ2プロジェクト
2018.06.07