トピックス第3期イオンエンジン連続運転のお知らせ

新しい年2018年になりましたが、「はやぶさ2」の運用も予定通りに開始しました。今年は、いよいよ小惑星リュウグウ(Ryugu)に到着しますが、その前にイオンエンジンの長期間の連続運転が必要です。その連続運転ですが、1月10日(水)14時(日本時間)から6月上旬頃まで実施する予定となりました。この間、イオンエンジンによる連続運転は、約2,700時間を計画しています。


※参考:これまでのイオンエンジン運転の履歴

2014年12月に打ち上げられてからのイオンエンジンの運転の履歴を示したものが、次の図です。

  • 図 イオンエンジンを運転した場所の模式図
     「はやぶさ2」の軌道上で黄色で覆った部分がイオンエンジンを運転した期間である。

打ち上げから2015年12月のスイングバイ前までの期間では、チェックを除いて4回のイオンエンジンの運転がありました。詳細は次の表1に示しますが、合計547時間ほど運転し、約60m/s(秒速60メートル)の加速をしました。

表1 スイングバイ以前のイオンエンジンの運転状況
期間名称台数 増速 (m/s)運転時間 (h)
初期機能確認IES動作試験
2015年3月3日~21日IES動力航行1244409
2015年5月12日~13日IES最大推力試験3424
2015年6月2日~6日IES動力航行2211102
2015年9月1日~2日IES動力航行321.312

スイングバイ後には、より長期間の運転を2回行ってきました。そして今回が3回目になります。詳細は次の表2のようになります。

表2 スイングバイ以降のイオンエンジンの運転状況(※印は計画)

期間名称台数 増速 (m/s)運転時間 (h)
2016年3月22日~2016年5月21日第1期イオンエンジン運転3(一部2台)127798
2016年11月22日~2017年4月26日第2期イオンエンジン運転3(一部2台)4352,558
2018年1月10日~2018年6月上旬※第3期イオンエンジン運転2→3※400※2,700※

スイングバイ以降では、第1期と第2期の2回の長期運転で、合計3,356時間で562m/sの加速を行いました。今回の第3期では、2,700時間で約400m/sの加速を行うことになります。

  • 注:上記のようにイオンエンジンで加速をしますが、探査機の速度は軌道上で変化しますので(主に太陽からの距離によって速度が変わります)、必ずしも上記の増速分だけ探査機の速度が変化するわけではありません。

イオンエンジンで噴射するキセノンは66kg搭載していますが、これまでに約14kgを使用しています。(66kgというキセノンの量は、かなり余裕をみて搭載されています。)


はやぶさ2プロジェクト
2018.01.05