★「はやぶさ2」の状況(2019.3.18の週)★
4月初めに衝突装置の運用(SCI運用)によりリュウグウ表面にクレーターを作る運用を実施しますが、今週は、その運用の前にリュウグウ表面の状態を確認するため、3/20~3/22まで「SCIクレータ探索(分離前)」運用(CRA1)を実施しました。 降下運用当日は、臼田局の運用開始時点から春の嵐による運用中断が危ぶまれましたが、探査機自身は全く問題なく、これまでのTD関連の運用より高めの高度でクレータ領域を広範囲に観測するため、高度約1.7kmまで降下を行いました。 高度約1.7kmまで降下後、高度を維持しつつ14回のスキャンマヌーバを行い、14個の領域に分割したクレータ探索領域をONC-TとTIRを用いて詳細に観測しました。 観測データのダウンリンクの結果、各観測領域の間が抜けることなく、想定通りクレータ探索領域の観測が行えていることを確認しました。 一方で、今週は、米国テキサスにてLPSC(Lunar and Planetary Science Conference)が開催され、多くの「はやぶさ2」メンバーが参加しました。 「はやぶさ2」の特別セッションも開催され、OSIRIS-RExによるBennu探査結果と合わせて、非常に活発な議論が行われました。
2019.03.28 T.T & M.Y.
★「はやぶさ2」の状況(2019.3.11の週)★
すでにTwitterでお知らせしていますが、はやぶさ2が"Aviation Week Network Annual Laureate Awards"という賞を受賞しました。 これはアメリカの大手航空宇宙雑誌「Aviation week」が1年間で活躍したチームや会社、人に贈っている賞です。 はやぶさ2はこの中のSpace部門で6社/チームともに選ばれ、2019年3月14日にワシントンDCで授賞式が行われました。 悪天候のためにワシントン行きの飛行機が欠航となり、プロジェクトマネージャがあわや欠席かというアクシデントもありましたが、登壇の直前に会場入りして無事トロフィーを受け取ってきました。
2019.3.20 S.N.
★「はやぶさ2」の状況(2019.3.4の週)★
今週は、今後のタッチダウン候補地点(S01)を詳細に観測するため、3/6~3/8まで「降下観測」運用(DO-S01)を行いました。2/22のタッチダウン以来初めての高度22mまでの降下となりました。週の前半にRCS(スラスター)の圧力を調整し、健康状態を万全にして臨みました。前回のタッチダウンの影響で、光学航法カメラ(ONC-W1)には砂塵が付着しているよう見受けられていたので、他の機器も含め何が起こるか分からない、何が起こっても対処できるようにという気持ちで臨みました。幸い探査機は全て正常に動作し、S01地点の詳細なデータも得ることが出来ました。3/9に探査機はホームポジションに戻り、次の「クレータ探索」運用(CRA1)に備えています。
2019.3.13 C.H.
★「はやぶさ2」の状況(2019.2.25の週)★
「TD1-L08E1」運用から高度20kmの「ホームポジション」へ帰還直後の2/23より、高度約5kmまで小惑星に降りる「BOX-C」運用を開始しました。この運用では、観測の一つとして「オトヒメ岩塊」の周囲の観測を実施しました。また、先週のタッチダウン運用(TD1-L08E1)と今回のBOX-C運用で得られたデータのダウンリンクや、来週の「降下観測」運用(DO-S01)に向けてバス機器の健全性チェックを行いました。天気が悪い日が多く、晩冬の湿った雪の影響で臼田局の運用時間が短縮されましたが、短い時間の中で数多くの運用をこなしました。探査機は、3/1にホームポジションに向けて上昇を開始しました。
2019.3.6 T.T.
★「はやぶさ2」の状況(2019.2.18の週)★
今週は、週の前半は高度20kmにて着陸に向けた最終準備を行い、2/21に降下開始。
そして2/22 7:29(日本時間)に、ついにリュウグウへのタッチダウンを達成しました。
チームメンバーにとっては長い1週間でした。
降下開始の直前まで、自分たちで作り上げた降下着陸計画にあらゆる側面から疑いをかけては晴らし、
自信を深めて臨みました。
磨きに磨いた着陸シーケンスはパーフェクト。
チームの総力戦は最高の形で報われました。
今後の結果報告にご期待ください。
ここでは、タッチダウン後のはやぶさ2の動きのちょっとした工夫をご紹介。
接地後、(地面が斜めだったために)探査機は斜め方向に上昇しました。
そこからホームポジションへ戻るには、そのままの状態では、
探査機のスラスタの配置の関係上不得意な方向に噴射する必要がありました。
そこで、Y軸回りに20分の1回転、Z軸回りに6分の1回転、姿勢にひねりを加えてから、
効率よいスラスタを使った噴射を行い、さらにその逆のひねりを辿って元の姿勢に戻しています。
月面宙返りならぬ、リュウグウ上空宙返りを決めてから、颯爽とホームポジションへ戻る、
最後まで工夫しぬいた演技でした。
プロジェクトチームは、現在、タッチダウン運用の技術点を採点中です。
芸術点は、是非皆様に採点をお願いいたします。
2019.2.26 Y.T.
★「はやぶさ2」の状況(2019.2.11の週)★
探査機の運用については、特に特殊なことはせずに通常の運用を行いました。 また、来週に行われるタッチダウンについての最終的な準備を行いました。 いよいよタッチダウンです。
2019.2.19 M.Y.
★「はやぶさ2」の状況(2019.2.4の週)★
今週は、臼田局に加えて、ゴールドストーン局・マドリッド局・セブレロス局を使って運用が行われました。また、タッチダウンに向けた準備も着々と進められました。2月6日には、JAXA東京事務所にて記者説明会を行い、タッチダウンを2月22日の8時頃(日本時間)に行うことと、タッチダウンの場所を発表しました。タッチダウンをする場所ですが、ターゲットマーカが着地しているすぐそばのL08-E1と名付けた領域になります。ここは幅が6m程度しかないため、非常に精密な航法誘導が必要になりますが、検討の結果それは可能ということを確認しています。
2019.2.12 M.Y.
★「はやぶさ2」の状況(2019.1.28の週)★
リュウグウの北極領域の観測を行ったBox-B運用から1/31にホームポジション(HP)に戻ってきました。HPでは定期的に実施する1自転分の観測を行いました。リュウグウの太陽距離が0.96au~1.42au(1auは太陽と地球の平均距離で、約1.5億km)で変動します。また、太陽・リュウグウ・地球のなす角度(SPE角に相当)も0度(合のとき)~最大約40°と変動します。太陽距離や太陽角のそれぞれの条件によって、ONCの観測する太陽光の反射の特徴、TIRの観測する熱放射の特徴に違いがでるので、リュウグウをHPから定期的に観測し、別の観測条件でデータ取得するのは有意義なのです。ちなみに1/31は太陽距離が1.42au(遠日点付近)で貴重なタイミングでした。SPE角は10.1°でした。
また、太陽と地球とリュウグウの位置の関係で、臼田局の朝の運用開始時刻が早くなってきました。運用担当、コマンダさんも集合時刻が早すぎて電車の始発でも間に合わなくなってしまいます。そこで、先ず臼田局側だけでテレメトリ取得を開始しておき、相模原では後からコマンド運用を始める「リプロ入感」という方式を始めました。極寒の朝には大変助かります。。。
2019.2.6 T.O.
★「はやぶさ2」の状況(2019.1.21の週)★
今週はツアー観測を行いました。BOX-B運用です。 ツアーの目標地点は、ホームポジション(HP)から高度を約2km下げて、北極側に約9kmシフトした位置です。数日かけてゆっくりと移動し、1/24に到着しました。以前のBOX-B運用では南極側を観測したので、今回は北極地域を上空から観測しました。科学観測のためにその位置に1日ほど滞在し、その後、ΔV(加速)をして現在はHPに戻りつつあります(1/31にHP復帰予定)。観測は、ONC、TIR、NIRS3、LIDARの科学観測機器を総動員して行われました。そして、臼田局だけでなくゴールドストン局やマドリッド局の協力を得て、週末には観測データを取得することができました。なおツアー途中には、ONCのヘルスチェックやTIRのダーク撮像などの貴重なデータも取得しました。
2019.01.29 M.H.
★「はやぶさ2」の状況(2019.1.14の週)★
1/16に、SCI運用に向けたRCSの長秒時噴射試験を実施しました。SCI運用では、インパクタ(衝突装置)を分離後、爆発で発生する飛翔物を避けるために、急いで小惑星の影に隠れるという運用を行います。この際、±X、±Zの方向にRCSの長秒時噴射を20秒程度行いますが、この間、数10Nの並進力が探査機にはかかり続けます。普段は経験しないような強外乱の環境下で、姿勢制御やRCSサブシステムの機能が、想定通りの働きをするかどうか確認するための試験でした。本番の半分程度の噴射時間での試験ではありましたが、姿勢制御もRCSサブシステムも、ほぼ想定通りの働きを見せ、SCI運用本番に向けてとても貴重なデータを取得することができました。また、1/18には前週に引き続き、サンプラーホーンの振動試験の追試も実施し、こちらも予定通り、残りの必要なデータを取得することができました。
2019.1.21 Y.M.
★「はやぶさ2」の状況(2019.1.7の週)★
合運用も、お正月休みも終わって、今週から「はやぶさ2」運用は本格的にあわただしくなってきました。まずはツアー運用です。通常のホームポジション(通称:BOX-A)から少しずれたエリア(通称:BOX-B)に移動し、サイエンス観測を行いました。今回は特にX方向にずらすことで、太陽を背にした状態でのデータが取得できました。次にサンプラーの振動試験です。「はやぶさ2」が着陸する前に誤ってサンプラーの振動を検知して緊急離脱しないかどうか確認するのが目的です。最終降下フェーズのシーケンスで「はやぶさ2」を動かし、サンプラーがどのように振動するかデータを取得しました。最後に化学推進系の調圧運用です。翌週にSCI運用を模擬したΔV試験を実施するため、燃料タンクと酸化剤タンクの圧力がそれぞれ標準値になるように事前調整しました。「安全に着陸ができますように!!」休みで英気を養い、初詣の願いの実現に向けて「はやぶさ2」は元気いっぱい頑張っています!
2019.1.16 O.M.
★「はやぶさ2」の状況(2019.1.1-6)★
1/4に本年最初の「はやぶさ2」運用を実施しました。合期間中には最新の観測データに基づいてリュウグウ軌道の再計算を行ないました。合運用からの復帰や、今週から再開した小惑星上空20kmのホームポジションを維持する運用は、再計算された新しいリュウグウ軌道に基づいて行なわれました。新軌道の利用により、より安定的にホームポジションを維持できるようになったことが確認できました。
2019.1.7 H.T.
★「はやぶさ2」の状況(2018.12.24-31)★
今週は「はやぶさ2」が合運用から戻ってきて、小惑星から距離20kmのホームポジションにピタリと止める運用です。6月の小惑星接近時にも似た運用を行っているものの、ミスの許されない緊張感のある運用でしたが、予定通りの軌道に入れることができました。12月31日の大晦日には年内最後の運用です。小惑星までの距離もLIDARで再び計測できるようになり、無事に通常運用に復帰することができました。2019年のタッチダウン調整にむけて本格運用が始まりますが、正月初めはしばしの休暇です。
2019.1.3 T.O.
★「はやぶさ2」の状況(2018.12.17の週)★
今週は「合」運用後半です。ビーコン運用の信号が日々綺麗になり、信号を何度も重ねなくとも「0」と「1」を判定できるようになりました。テレメトリもしっかりと受信でき、探査機状態が詳細に把握できるようになりました。「はやぶさ2」と通信ができない間のデータはデータレコーダに記録されています。今週は久しぶりにデータレコーダを再生し、テレメトリが受信できない期間も「はやぶさ2」が正常に動作していた事を確認できて一安心です。通信環境は定常運用に戻りつつありますが、ホームポジション(小惑星から20kmの位置)への復帰はまだ少し先になります。
2018.12.26 Y.Y.
★「はやぶさ2」の状況(2018.12.10の週)★
今週は12.12の「合」の中心を挟んで、3パスの臼田局運用と2パスの海外局運用を行ないました。臼田局では「ビーコン運用」の後にテレメトリ運用を行いましたが、受信できたテレメトリデータはわずか3パケットだけでした。太陽が間に入ると通信も厳しくなります。海外局運用(マドリッド、ゴールドストーン)ではKaバンドの電波を使ってレン ジング(測距)運用を行い、その後テレメトリ取得に挑戦しましたが、テレメトリを受信することはできませんでした。ただし、地上から送ったコマンドが「はやぶさ2」に届いて、命令通り動作したことは確認できています。最も厳しい期間をなんとか乗り越えたので、来週はテレメトリも受信できることでしょう。
2018.12.19 M.H.
★「はやぶさ2」の状況(2018.12.3の週)★
「はやぶさ2」では合運用が続いていますが、「ビーコン運用」が本格的に始まって、いよいよ合が近づいてきていることが実感できました。地球から見た「はやぶさ2」と太陽の角度が3度以下になると、「はやぶさ2」が送信した電波が地球に届く間に、太陽表面近くのプラズマの影響を受けます。その結果、地球で受信する「はやぶさ2」の電波強度が大きく変動して、探査機の状態を監視するテレメトリが受信できなくなることがあります。そんな時に威力を発揮するのが「ビーコン運用」です。 探査機の状態が正常であるとか電圧とかの情報を、「1」と「0」による二進数で表して、これを「はやぶさ2」の送信電波の強度に置き換えます。そうすると、地球での受信電波強度が変動している時でも、人の目で見て「1」や「0」の情報が読み取れるのです。(実際には、コンピューターでも分析できるようにしています。)その結果、「はやぶさ2」が頑張って、「僕は大丈夫ですよ」と言っているのを読み取ることができました。これで準備万端、合を乗り越えることができます。
2018.12.12 T.I.
★「はやぶさ2」の状況(2018.11.26の週)★
合期間を安全に過ごすため、先週(11月23日)の運用で探査機は「合軌道」へ投入されました。「合軌道」では12月11日に小惑星距離が約110kmで最大となり、12月29日に小惑星距離が20kmのホームポジションへ戻ります。目標の軌道から少しでもずれてしまうとリュウグウへ衝突してしまう可能性があるため、11月23日の投入後に探査機の軌道が十分か精密に評価してきました。結果として、11月30日に小惑星距離が約75kmの地点で地球方向(≒反小惑星方向)の速度を3.8ミリメートル毎秒だけ増速させる軌道修正マヌーバ1(TCM01)を実施しました。合のため太陽コロナの影響でドップラー計測におけるノイズが大きく難しい計測となりましたが、結果として計画値の99.2%に相当する3.77ミリメートル毎秒の増速を確認することが出来ました。探査機は十分な精度で合軌道へ投入されたと判断し、次の軌道修正は合期間明けの12月25日(クリスマス!)に予定しています。合期間中は数日に1回の頻度で姿勢制御を実施し、探査機を地球方向へ向け続けます。太陽の影響でテレメトリを得ることが難しくなりますが、 Ka帯も使用した通信試験や電波科学観測、普段とは全く異なる「ビーコン運用」という方法で最低限の探査機情報を地上に送信するなど、貴重な合期間の運用経験を蓄積していく予定です。
2018.12.03 Y.T.2 & S.S.
★「はやぶさ2」の状況(2018.11.19の週)★
「はやぶさ2」は、地球から見て太陽に非常に接近する合の期間に入りました。今週前半は、事前準備としてレンジ計測やDDORなどの軌道決定、および姿勢制御を行いました。姿勢をZ軸まわりに180度まわしたので、これまで探査機搭載のカメラONCで見えていたRyuguが上下逆さまに見えるようになりました。勤労感謝日の23日にはスラスタを吹き、探査機は合軌道に無事に投入されました。そして、レンジ計測やDDORを実施しましたが、今後、軌道投入の精度を検証し、微調整を行います。次週には地球から見た「はやぶさ2」と太陽の間の角度がより小さくなり、テレメトリがみえなくなるビーコン運用になります。
2018.11.27 R.T.
(2018.11.29修正)
★「はやぶさ2」の状況(2018.11.12の週)★
今週の「はやぶさ2」は、来週に迫りつつある合運用の準備をしながら、小惑星からの高度20kmを維持するためのレンジ計測とΔV運用を繰り返す運用を行いました。また、ONC、TIR、NIRS3のサイエンス観測と取得されたデータの再生や、バス機器の健全性確認も行いました。具体的にはRCS(化学推進系)、TCS(温度制御系)、AOCS(姿勢制御系)などが来週からの合運用準備期間に備えて運用に参加しました。探査機は日本の臼田局から見えない時間に観測を行いますので、そのデータダウンロードは深夜の海外局の仕事になります。探査機は太陽の方向に居ますので、地球上で昼の国で「はやぶさ2」を追いかけることになります。まるで谷川俊太郎の詩『朝のリレー』のようです。
『ぼくらは朝をリレーするのだ 経度から経度へと そうしていわば 交替で 探査機を守る』
2018.11.20 S.H. & M.A.
★「はやぶさ2」の状況(2018.11.05の週)★
TD1-R3, BOX-C2 などの重要な運用を終え、探査機は高度 20 km のホームポジションに戻りました。今週は光学航法カメラ ONC、中間赤外カメラ TIR、近赤外分光計 NIRS3 の健全性確認試験を行いました。いつもはリュウグウを撮像していますが、わざと小惑星を視野から外すように姿勢を変更し、深宇宙の撮像を行なっています(ダーク観測と呼んでいます)。真っ暗な深宇宙を観測することにより、観測機器のノイズレベルの調査を行います。今回でリュウグウ到着後、3回目のダーク観測になります。
2018.11.13 N.S.
★「はやぶさ2」の状況(2018.10.29の週)★
TD1-R3運用から高度20kmの「ホームポジション」へ帰還直後の10/27より、2回目の「BOX-C」運用を開始しました。今回は高度約5.1kmまで降りる「BOX-C1」と、高度約2.2kmまで降りる「BOX-C2」の2段構えによる特別版です。予定通り10/30に到着した「BOX-C1」ではレーザ高度計や光学カメラを用いた観測を完了。11/1に到着した「BOX-C2」の目的はTD1-R3で投下に成功したTM(ターゲットマーカ)を撮影し、その位置を精確に知ることです。「リュウグウ表面のTM・探査機・太陽」が一直線に並ぶ時刻・位置(サブソーラ点)めがけて探査機を降下させ、タイミングよく光学望遠カメラをリュウグウに向けて高度約2.5kmから撮影、姿勢を戻して高度約2.2kmから離脱という段取りです。結果は大成功。再帰性反射材が太陽光を反射して光るTMを画像に収めることが出来ました。年明けのTD1運用に向けて更に一歩前進です。なお、燃料節約のためにゆっくりと上昇していた探査機は,11/5に「ホームポジション」へ帰還しました。
2018.11.6 Y.T.2
★「はやぶさ2」の状況(2018.10.22の週)★
TD1-R1-Aで得られた貴重なデータを最大限活用してTD1-R3を10/23~10/25に実施しました。今回はTD1-R1-Aと同じ目標地点に降下して、更に4本ビームの近距離用レーザセンサであるLRF (Laser Range Finder) を駆使して小惑星表面からの距離を計測、この計測値を用いて探査機の搭載計算機が自動的に高度を一定に保つホバリングを実施した後に、TM (Target Marker) を投下、FLA (FLAsh lamp) と呼ばれるストロボライトで照らされて明るく光ったTMの画像を探査機が画像認識してTMの直上まで移動してホバリングを継続して上昇するという、ほとんどタッチダウン直前のシーケンスまで実施するリハーサル運用でした。結果は大成功です。
関係者一同、これで年が越せるとホッと一息です。
2018.10.30 F.T.
★「はやぶさ2」の状況(2018.10.15の週)★
10月15日の深夜にTD1-R1-Aで探査機は小惑星表面から約20mの高さまで降下して上昇し、ホームポジションに戻っています。この運用で短距離用のレーザセンサであるLRF(Lase Range Finder)の性能が確認できましたし、小惑星表面の画像も更に取得できました。次週に続くタッチダウンのリハーサル運用TD1-R3の準備に向けてTD1-R1-Aのデータを解析したり、手順を再確認するなど、関係者は大忙しです。
2018.10.23 F.T.
★「はやぶさ2」の状況(2018.10.08の週)★
10月8日に探査機はホームポジションに戻り、今週はそのままホームポジションに滞在していました。プロジェクトメンバーは2回目のタッチダウン・リハーサル(TD1-R1-A)に向けての最終的な準備をしました。MASCOTチームからは、MASCOTが撮影した画像が公開されましたが、リュウグウ表面のデコボコした様子が改めてよく分かりました。そして、10月14日からはTD1-R1-Aの運用が始まりました。
2018.10.16 M.Y.
★「はやぶさ2」の状況(2018.10.01の週)★
9月30日からMASCOT分離運用のための準備が始まりました。10月2日の正午頃(日本時間)から降下を開始し、10月3日、10:57:20にMASCOTを高度51mで分離しました。MASCOTはその後リュウグウ表面に着地し、約17時間にわたって活動を続けました。一方、探査機の方は高度3km付近に約1日間滞在してから、ホームポジションへの上昇を始めました。当初は10月5日にホームポジションに戻る予定でしたが、週末に台風が日本に接近する予報があったため、ホームポジションには10月8日に戻るように変更しました。
2018.10.16 M.Y.
★「はやぶさ2」の状況(2018.09.24の週)★
今週は、着地したMINERVA-II1から小惑星表面の画像が送られてきました。レゴリスが全く見られず大小のボルダーばかりの景色が非常に衝撃的でした。一方で、太陽光とホッピングが相まった画像は非常に美しくダイナミックでした。さて、来週はMASCOTを分離します。降下運用は緊張します。慎重に着実に送り届けたいと思います。
(レゴリス:細粒の堆積物、ボルダー:岩塊)
2018.10.01 S.N.
★「はやぶさ2」の状況(2018.09.17の週)★
今週は、非常にエキサイティングな週になりました。まず、9月19日にはMINERVA-II1を分離するための準備の運用が開始されました。 そして、9月20日の14時頃にホームポジションから降下を開始し、9月21日の13時過ぎにMINERVA-II1のRover1AとRover1Bの2機を分離しました。 その後、探査機は上昇し9月22日の15時頃にホームポジションに戻りました。MINERVA-II1の分離後は、MINERVA-II1との通信を試みましたが、9月22日までに画像などのデータを得ることができ、2機ともリュウグウに着地したことが確認されただけでなく、ホップして移動していることも確認されました。9月22日の夜にプレスリリースをして、取得された画像を含めてMINERVA-II1の状況を公開しました。MINERVA-II1から送られてきた画像には、プロジェクトメンバーとしても感動しました。
2018.9.25 M.Y.
★「はやぶさ2」の状況(2018.09.10の週)★
週の前半は、着陸リハーサル運用(TD1-R1)を実施しました。この運用は高度600mまで降下した時点で中断し、探査機はベースキャンプである高度20km「ホームポジション」に戻りました。TD1-R1の運用自体は中断したものの、低高度でのはやぶさ2の応答と、高解像度での着陸候補エリアの貴重な画像が取得できました。プロジェクトチームは、一歩一歩未踏領域を狭めていることを実感しています。これらのデータを、次のローバー分離や着陸運用に役立てるべく、プロジェクトチームの解析作業が続いています。
2018.09.17 Y.T.
★「はやぶさ2」の状況(2018.09.03の週)★
先週「BOX-B」から移動を開始しましたが、予定通り今週探査機の定位置である「BOX-A」ポジションに戻りました。その間、毎日のようにカメラで小惑星の観測を行ないつつ、運用の裏では9/11からのタッチダウンリハーサル1回目およびその先の運用の準備を必死で行なっていました。降下運用は2日程度の運用ですが、その準備作業はその何十倍も時間をかけて行なっています。今までの準備の成果が出せるよう、来週以降も気を引き締めたいと思います。
2018.09.11 T.S.
★「はやぶさ2」の状況(2018.08.27の週)★
探査機は高度約20㎞を維持した状態で横方向の位置を最大約9kmまでずらして小惑星を観測する「BOX-B」運用を終了して、9/11に開始予定のタッチダウンリハーサル1回目の降下開始位置である直上の位置まで戻り始めました。タッチダウンリハーサル1回目では小惑星の表面から30m以下まで降下してタッチダウン候補地点L08やその周辺のより詳細な画像を取得したり、タッチダウンに用いる近距離用レーザセンサであるLRF(Laser Range Finder) をONにして初めて小惑星表面との距離を測ります。このセンサで測距するのは打ち上げ後初めてです。
2018.09.04 F.T.
★「はやぶさ2」の状況(2018.8.20の週)★
探査機は、引き続きBOX-Bの運用を行っています。8月23日には記者説明を行いましたが、はやぶさ2のタッチダウン候補地点に赤道付近のL08というポイントを選定しました。ただし、リュウグウの表面は岩塊(ボルダー)だらけで、安全にタッチダウンできるように今後も情報収集と検討を続ける必要があります。また、MINERVA-II-1およびMASCOTは中緯度のN6、MA-9という地域に着地することに決めました。9月21日にMINERVA-II-1を、10月3日にMASCOTを分離する計画です。どんなデータが届くのか楽しみです。
2018.8.28 S.N.
★「はやぶさ2」の状況(2018.8.13の週)★
重力計測運用から戻って、Box-A(ホームポジション)での運用を行いました。今週は天候が不安定で、臼田周辺でも雷が発生することが多く、運用が心配でしたが、なんと米国ゴールドストーン局での運用の時にもサンダーストームが発生しました。地上局の天候が気になります。また、今週は着地点の議論も活発に行いました。8月17日には、海外からも多数のプロジェクトメンバーが集まり活発な議論が行われました。8月18日からは、Box-B運用が開始され、探査機はBox-Aからの移動を開始しています。
2018.8.21 M.Y.
★「はやぶさ2」の状況(2018.8.6の週)★
今週は8/5~8/7にかけて、「重力計測降下」運用を実施しました。これははやぶさ2にとって、着陸と同じテクニックを使って小惑星へ降下する2回目の運用でした。到達高度は851m!リュウグウの重力を十分感じられる距離に近づき、貴重な近接画像を撮ることができました。いま宇宙研には、続々と国内外の研究者が集結しつつあります。相模原は、この人類にとって真新しい天体の科学的な議論で熱々です。
2018.8.13 Y.T.
★「はやぶさ2」の状況(2018.7.30の週)★
先週高度約6kmまで降下した「Box-C」から、高度20kmの「Box-A」に戻ってきたのもつかの間、今週は、到着後初めてのクリティカル運用である「中高度観測運用」を実施しました。Box-Cとは異なり、24時間体制で厳密な位置制御を行いながら高度5km程度まで降下し、小惑星1自転周期の間、同一高度でホバリングを行い、小惑星の観測を行いました。最初のクリティカル運用ということで緊張した運用となりましたが、無事成功し今後の運用に弾みがついたと思います。来週もクリティカル運用である「重力計測降下運用」を実施します。
2018.8.6 T.S.
★「はやぶさ2」の状況(2018.7.23の週)★
高度約6kmまで降下した「BOX-C」から高度20km±1kmの範囲に留まる「BOX-A」に戻ってきてホッとしつつ、「BOX-C」で撮像した画像をダウンリンクしました。7月25日に公開した画像のように、リュウグウの表面の凸凹がより詳細にわかってきました。この間に再び高度5kmまで降下してホバリングする「中高度観測運用」や高度1kmまで降下する「重力計測降下運用」の準備として、レーザ距離センサLIDARの設定の試験などを行いました。準備万端です。
2018.7.30 F.T
★「はやぶさ2」の状況(2018.7.16の週)★
先週は、一時的に高度約6kmまで降りる運用を行いました。
接近してリュウグウのより詳細な観測を行いました。データのダウンリンクはこれからです。
普段の「BOX-A」運用に対して、維持高度が異なるこの運用を「BOX-C」運用と呼んでいます。
順序を飛ばしてしまいましたが、「BOX-B」運用もいずれ行いますのでお楽しみに。
2018.7.22 S.N.
★「はやぶさ2」の状況(2018.7.9の週)★
ホームポジション(高度約20km)での運用が続いています。
臼田局以外に海外局も使って、Ka帯でダウンリンクしたり、アップリンクトランスファーも行っています。
観測の方はBOX-Aの観測が行われており、ONC-T、LIDAR、NIRS3、TIRの各機器によるデータ取得を続けています。
2018.7.16 M.Y.
★「はやぶさ2」の状況(2018.7.2の週)★
リュウグウ到着後の第1週は私たちにとってあっという間でした。人類にとって真新しい天体の風景をモニター越しに見ながらの探査機運用はなかなか乙です。
今週やったことは主に以下の2つです。
・小惑星上空20kmに精確にホバリングする技術の確立
・搭載の各種観測機器をリュウグウに向けて動作チェック
いずれも結果は良好。LIDAR(レーザー高度計)は小惑星対向で高度を計測し、Ka帯通信機はNASA深宇宙局を通じて高速でデータを送り始めました。探査機から送られてくる電波のドップラーシフトからは、はやぶさ2が小惑星の重力を感じていることがわかります。はやぶさ2のリュウグウ探査1週目は順調な滑り出しです。
2018.7.9 Y.T.
光学電波複合航法における10度目の軌道制御(TCM10)を行いました。
これは“Arrival TCM”です。
2018年6月27日、09:30頃から09:35頃(日本時間)にかけて2回に分けてスラスタを噴射し、+x方向0.7cm/s、+z方向2.8cm/sほどの加速を行いました。軌道制御を行ったときの探査機-小惑星の距離は約20.7km、TCM10後の探査機の小惑星に向かう相対速度は約0.01m/s(1cm/s)以下でした。
ついに、リュウグウに到着しました。
光学電波複合航法における9度目の軌道制御(TCM09)を行いました。2018年6月26日、10:10頃から10:20頃(日本時間)にかけて数回に分けてスラスタを噴射し、-x方向0.8cm/s、+y方向0.3cm/s、+z方向10cm/sほどの加速を行いました。軌道制御を行ったときの探査機-小惑星の距離は約23km、TCM09後の探査機の小惑星に向かう相対速度は約0.02m/s(2cm/s)でした。
光学電波複合航法における8度目の軌道制御(TCM08)を行いました。2018年6月24日、09:30頃から09:40頃(日本時間)にかけて数回に分けてスラスタを噴射し、+y方向0.2cm/s、+z方向2cm/sほどの加速を行いました。軌道制御を行ったときの探査機-小惑星の距離は約38km、TCM08後の探査機の小惑星に向かう相対速度は約0.08m/s(8cm/s)でした。
光学電波複合航法における7度目の軌道制御(TCM07)を行いました。2018年6月22日、09:30頃から10:40頃(日本時間)にかけて数回に分けてスラスタを噴射し、-x方向2cm/s、+y方向1cm/s、+z方向31cm/sほどの加速を行いました。軌道制御を行ったときの探査機-小惑星の距離は約45km、TCM07後の探査機の小惑星に向かう相対速度は約0.09m/s(9cm/s)でした。今回の軌道マヌーバにより、最終の垂直降下軌道に移行しました。あとはほぼまっすぐRyuguを目指します。
光学電波複合航法における6度目の軌道制御(TCM06)を行いました。2018年6月20日、12:40頃から13:50頃(日本時間)にかけて数回に分けてスラスタを噴射し、-x方向3cm/s、+y方向1cm/s、+z方向35cm/sほどの加速を行いました。軌道制御を行ったときの探査機-小惑星の距離は約110km、TCM06後の探査機の小惑星に向かう相対速度は約0.4m/sでした。小惑星の重力が支配する領域(Hill圏:小惑星から約90km以内)に入っていきます。
光学電波複合航法における5度目の軌道制御(TCM05)を行いました。2018年6月18日、11:00頃から12:10頃(日本時間)にかけて数回に分けてスラスタを噴射し、-x方向8cm/s、+y方向1cm/s、+z方向61cm/sほどの加速を行いました。軌道制御を行ったときの探査機-小惑星の距離は約220km、TCM05後の探査機の小惑星に向かう相対速度は約0.7m/sでした。
光学電波複合航法における4度目の軌道制御(TCM04)を行いました。2018年6月16日、09:30頃から10:40頃(日本時間)にかけて数回に分けてスラスタを噴射し、-x方向10cm/s、+y方向1cm/s、+z方向44cm/sほどの加速を行いました。軌道制御を行ったときの探査機-小惑星の距離は約470km、TCM04後の探査機の小惑星に向かう相対速度は約1.3m/sでした。
今日は、ONC-Tの画面内に小惑星がおさまるように横方向速度を調整しました。また縦方向は距離が縮まったことに応じて、接近速度を25%減速しました。
光学電波複合航法における3度目の軌道制御(TCM03)を行いました。2018年6月14日、12:40頃から13:50頃(日本時間)にかけて数回に分けてスラスタを噴射し、-x方向4cm/s、+z方向40cm/sほどの加速を行いました。軌道制御を行ったときの探査機-小惑星の距離は約750km、TCM03後の探査機の小惑星に向かう相対速度は約1.7m/sでした。
光学電波複合航法における2度目の軌道制御(TCM02)を行いました。2018年6月11日、09:30頃から10:40頃(日本時間)にかけて数回に分けてスラスタを噴射し、x方向13cm/s、-y方向1cm/s、z方向26cm/sほどの加速を行いました。軌道制御を行ったときの探査機-小惑星の距離は約1320km、TCM02後の探査機の小惑星に向かう相対速度は約2.1m/sでした。これまでは横から滑り込むように小惑星へ接近していましたが、今回のTCM02により、小惑星を進行方向真正面に捉える軌道に入ったことになります。
光学電波複合航法の最初の軌道制御(TCM01)を行いました。 2018年6月8日、12:30頃から13:40頃(日本時間)にかけて数回に分けてスラスタを噴射し、-x方向24cm/s、-y方向5cm/s、z方向14cm/sほどの加速を行いました。軌道制御を行ったときの探査機-小惑星の距離は約1900km、TCM01後の探査機の小惑星に向かう相対速度は約2.35m/sでした。
2018年6月3日、小惑星リュウグウへの接近誘導の運用が開始されました。(小惑星までの距離:3100km)
2018年6月3日、14:59(日本時間)に第3期イオンエンジンの運転が終了しました。これで、イオンエンジンの往路完走となります。
本日(2018年2月20日)の12時(日本時間)から、イオンエンジンをこれまでの2台運転から3台運転に変更しました。イオンエンジンA、C、Dの同時運転です。
本日(2018年1月10日)の14時(日本時間)から、「はやぶさ2」のイオンエンジン運転が開始されました。イオンエンジン2台(AとD)の同時運転です。
小惑星到着前の最終イオンエンジン運転を2018年1月から開始する予定ですが、それに備えるため、12月26日、27日の2日間においてイオンエンジン稼働試験を実施しました。今回の試験ではスラスタ2台の同時運転を二日間で合計5時間行いました。結果は良好です。
第2期イオンエンジン連続運転は、2016年11月22日~2017年4月26日に行われました。
2016年10月08日の運用で、姿勢制御のモードをソーラーセイルモード(OWC)から三軸姿勢モードからに変更しました。
2016年8月3日の運用で、姿勢制御のモードを三軸姿勢モードからソーラーセイルモード(OWC)に変更しました。
イオンエンジンの追加運転を、2016年5月20日の21:00から5月21日の00:39まで行い、イオンエンジンの運転は正常に終了しました。イオンエンジンはAとDの2台を用い、探査機の進行方向とは逆の方向に、約40cm/sの加速を行いました。正確な軌道変更量については、今後、精密軌道決定を行って確認します。
3月22日から始まったイオンエンジンによる連続運転は、5月5日の10:27(日本時間)に正常に終了しました。スイングバイ後の1回目(第1期)のイオンエンジン連続運転になりましたが、運転時間は約795時間でした。探査機は正常です。なお、Ryugu到着までに、あと2回のイオンエンジン連続運転が予定されています。
イオンエンジンによる軌道制御は、予定通りに3月22日、22:55(日本時間)に開始しました。3台のエンジン(A,C,D)は順調に稼働していています。
本日、イオンエンジンの運用を22:55(日本時間)に開始する予定です。いよいよRyuguに向けた本格的な軌道制御が始まります.今回はこれまでで最長のイオンエンジン稼働時間を予定しており、5月までにおよそ800時間運転させます。
本日、姿勢制御のモードをソーラーセイルモード(OWC)から三軸姿勢モードに変更しました。これは、今後のイオンエンジン運用への準備のためです。
4年ぶりの閏日も、そして本日も、「はやぶさ2」の運用は続いています。引き続き南半球の局からの運用で、主にキャンベラ局からの運用になっています。ソーラーセイルモード(OWC)を継続しています。
本日、MASCOTの運用を行いました。MASCOTのスイッチを入れて、機器チェックをしました。このために、MASCOTチームメンバーが日本に運用に来ています。
本日の運用から、姿勢制御がソーラーセイルモードと呼ばれるモードになりました。ソーラーセイルモードとは、OWC(One Wheel Control)とも呼ばれますが、リアクションホイール を1つだけ用いた姿勢制御法のことです。この運用は、3月末くらいまで続きます。
「はやぶさ2」の運用は、定常の巡航運用となり、スイングバイの前後とは打って変わって非常に落ち着いた運用が続いています。年内は12/30まで運用があり、新年は1/3から運用が始まります。今年一年間、無事に運用ができたことを感謝しつつ、来年もよい年になることを祈りたいと思います。
本日のキャンベラ局からの運用で、「はやぶさ2」の姿勢を、探査機の底面が地球を向いている姿勢から太陽電池パドルが太陽に向く姿勢に戻しました。これで、11月初めから始まった一連のスイングバイ運用キャンペーンは終了しました。Transfer(遷移軌道)フェーズの定常巡航運用に移ります。
引き続き、南半球にある追跡局(アンテナ)を使って「はやぶさ2」の運用が続いています。追跡局としては、すでにお知らせしましたNASA深宇宙ネットワーク(DSN)のキャンベラ(Canberra)局に加えて、ESA(欧州宇宙機関)がアルゼンチンに持っているマラルグエ(Malargüe)局も用いています。今後、約5ヶ月間、これら2つの局にお世話になります。。
NASA深宇宙ネットワーク(DSN)のキャンベラ局を使って,はやぶさ2の運用を行っています。今日は、軌道の計測と、スイングバイ用の探査機の特殊設定をひとつひとつ元に戻す運用を行いました。管制室は、まだ慎重な運用が続いております。
なお、NASA深宇宙局の運用状況は、以下のサイトでご覧いただけます。
https://eyes.nasa.gov/dsn/dsn.html
※はやぶさ2は、「HYB2」と表示されます。
2015年12月3日19時8分7秒(日本標準時)頃、「はやぶさ2」は地球に最接近し、ハワイ上空約3,090kmを通過して地球スイングバイを行いました。その後の探査機の状況は良好です。今後、1週間から10日程度をかけて精密な軌道決定を行い、予定通りの軌道に投入されたかどうかを確認します。
スイングバイに向けた運用状況の報告です。スイングバイ当日(12/3)の運用については、昨日(12/1)のうちにコマンドのアップロードが終わっています。本日は、地球の引力による軌道変化の影響を精密に把握するための測距(レンジ計測)を、主な運用として行っています。
軌道補正マヌーバの3回目(TCM3)は、行わないことに決定しました。TCM2後の精密軌道決定の結果、地球スイングバイを行うにあたっては現在の軌道で問題ないことが確認されました。
2015年11月26日の8:30から10時頃(日本標準時)において、軌道補正マヌーバTCM2を実行しました。RCSスラスタを予定通り約1秒間噴射し、TCM2は正常に終了しました。探査機の状態は良好です。今回も12基あるスラスタのうち4基を使いました。噴射は2回に分けて行いました。
軌道補正マヌーバTCM2に向けた準備が整いました。TCM2として、2015年11月26日の8:30から10:00(日本標準時)において、RCSスラスターを約1秒間噴射する予定です。
2015年11月3日の13時から15時頃(日本標準時)にかけて,軌道補正マヌーバTCM1を実行しました.RCSスラスタを予定通り約4秒間噴射し,TCM1は正常に終了しました.探査機の状態は良好です.
今回は12基あるスラスタのうち4基を使いました.精度よく噴射するために,噴射は4回に分けて行いました
軌道補正マヌーバTCM1に向けた準備が整いました。TCM1を、2015年11月3日に行います。RCSスラスタを約4秒間噴射する予定です。
(RCSスラスタとは、主に姿勢制御用の化学推進系のことです。)
なお、TCM1の結果報告につきましては、その速報のWEBへの反映が間に合わない可能性がありますので、ツイッタ―に流します。