★第6拡張★ 過去最長の合運用、明けました
皆さんこんにちは!今年は遅い梅雨入りでしたが、そろそろ全国的に明け始めているでしょうか?はやぶさ2の方も、合運用が明けました!地上の方は、もはや夏の陽気、、、というか熱気がすごいですが、負けないよう、気持ちも晴れやかに第6拡張です!
前回は、ソフトウェアの書き換え運用について書きまして、その続きとして、姿勢制御系の新機能について書こうとしていたのですが…その間、合運用が終了するというなかなかのイベントがありましたので、中途半端な差し込みですが、日誌を更新したいと思います!
以前から色々なところで宣言していたのですが、2024年4月の中旬から、はやぶさ2は拡張ミッションに移ってから2回目の、打ち上げからで考えると3回目の「合」を迎えました。これまでは、せいぜい3週間程度の合運用でしたが、今回はなんと3ヶ月!という過去最長の合運用期間となりました。
基本的にはこれまでの合運用とやることは変わらず、三軸姿勢を維持した状態で、週に1回地球指向してHGAで通信を試みて、太陽電磁波の影響で通信環境が安定しない可能性高いので、予め時間を決めておいて、1ビット通信のビーコン運用に切り替える、ということの繰り返しで、ひたすら耐え忍ぶという運用方式です。簡単に聞こえますが、地上からのコマンドも届かない期間が続くので、姿勢制御用や通信系設定用に必要な3ヶ月分のコマンドを4月の中旬に送った後は基本手出しできないため、これほど長期の運用を事前に登録したコマンドだけでやり切るというのは大変勇気のいることでした。
ただ、結果として、5月末までは、途切れ途切れながらも1回の運用で1点以上のテレメトリデータを取得することができ、またその頃までコマンドも途切れながらも通すことが出来たので、微修正は行いつつ、実質的に何も手出しできない期間は1ヶ月程度に留まりました。また通信がままならない(テレメトリデータが取得できない)時期にも、探査機の電波強度は地上のアンテナで検知することができていたため、最低限、セーフホールドに入っていないか、三軸姿勢を維持できているか、地球指向できているか、といった情報は得られていたので、電波が取れるだけでも安心感はありました。
そして、この長期の合運用期間で、少しでも1ビット通信データの読み取りを正確にするべく、地上局側の通信状況監視ツールの使い方も習熟することにより、地球から見た太陽方向と探査機方向のなす角度が0.5°以下の時期(合が深い時期)を含む、すべての期間においてビーコン運用で得られたデータはきちんと解読することができ、通信環境が制限されるような将来ミッションにも繋がるノウハウを得ることができたと考えています。
図1 1ビット通信中の、はやぶさ2からの電波強度の図
(一番合が深い時期のデータだが、様々な工夫により変調のON/OFFが綺麗に見える状態を維持できるようになった(但し、天候の影響などにも依る))
何はともあれ、3ヶ月の合運用期間を経て、7月初旬にきちんと正常なデータを送ってきてくれた時には、関係者一同、本当にホッとしました。この間、ずっと電波を送り続けてくれた、はやぶさ2にも感謝の念が絶えません。合運用も越えたところで、気持ちも改め、引き続き、さまざまな面白いミッションに挑戦していきたいと思います!!
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※ ちなみに…
軌道が決まっているので、日々、地球指向するためにどの方向を向ければ良いかは予測できますが、この間、できるだけ燃料消費を抑えるため、RWの回転数は自動でアンローディングするようなことはせず、太陽光圧による影響を読みながら、必要なところに的を絞って、1ビット通信で回転数を確認しつつ、アンローディングを実施しています。結果的に、3ヶ月の合運用期間中に、たった4発だけで済ませることに成功しました!(ちなみに1運用で2発ずつ実施したので、タイミングとしては2運用のみ)
少しマイナーですが、今後のフライバイやランデブーミッションに向けて燃料節約に苦心している私としては、これも非常に大きな成果です…!( -`ω-)✧ドヤッ
2024.7.22 三桝裕也