トピックスリュウグウサンプルのレプリカ、
全国47都道府県で公開!

「はやぶさ2」が小惑星リュウグウから持ち帰ったサンプルの中で、3番目に大きいものについて精密なレプリカをプロジェクトで製作しました。相模原市の「JAXA宇宙科学研究所と夢を創る会」と「銀河連邦サガミハラ共和国 」にご協力いただきまして、全国の展示していただける施設に配布しました。今年の「はやぶさの日(6月13日)」の直前から順次全国47都道府県で公開されます。レプリカではありますが、小惑星リュウグウからのサンプルがどのようなものなのか、是非、ご覧ください。

製作したレプリカを図1に示します。レプリカの元になったサンプルは、大きさは1cm弱(正確には8.648mm)で、質量は約0.1g(正確には93.5mg)です。これは2回目のタッチダウン(2019年7月11日)で、リュウグウの赤道付近に人工的に作ったクレーター(おむすびころりんクレーター、SCIクレーター)の近くで採取されたものです。レプリカとしては、実物大と10倍サイズのものを作りました。


図1 リュウグウサンプルのレプリカ。左が実物大で右が10倍サイズ。(©JAXA)

2回目のタッチダウンで採取したサンプルのうち、大きなものはこちら に写真があります。レプリカとなったサンプルは、サンプル名がC0002というものです。このサンプルの写真を図2に示します。詳細情報は、リュウグウ試料カタログをご覧下さい。
https://darts.isas.jaxa.jp/curation/hayabusa2/allDescription.php?sample_id=629"


図2 レプリカの元になったサンプルC0002(©JAXA)

5月23日の相模原市からの発表では、サンプルレプリカは全国の191カ所から応募があったということです(相模原市の発表はこちら)。これは47都道府県のすべてとなります。さらに、6月3日の時点では、196施設での公開となりました。公開する施設のリストは、相模原市のWebで公開されています(情報はこちら)。公開される場所をGoogle Mapにプロットしてみると図3のようになります。


図3 サンプルのレプリカが公開される場所。Google Mapを使用して作成。この図の詳細は、こちら

をご覧下さい。

現在、リュウグウからのサンプルの分析がどんどん進んでいます。約46億年前に太陽系が誕生したときに、どのような物質があったのか、地球の水や有機物がどこから来たのか、そして現在の地球に至るまでに、どのような物質変化があったのか、等々、リュウグウのサンプルからどのようなことが分かってくるのか、楽しみです。


※参考:レプリカ製作について
レプリカの元になったサンプルの三次元の形状データは、「はやぶさ2」の初期分析チームが放射光施設SPring-8の高分解能CT撮影装置によって計測したものです。そのデータを用いて、JAXA宇宙科学研究所の先端工作技術グループが3Dプリンターによってレプリカを作りました。
レプリカの製造には、FDM方式(熱溶解積層方式)の3Dプリンターが使われました。FDM方式は、フィラメントと呼ばれる太さ1.75mmの樹脂材料をヒーターで温められたノズルから押出し造形していく方式です。ソフトクリームやモンブランケーキの渦巻き状の部分を作るのに似た作り方になります。レプリカの製造工程は次のようになります。


(1) 「はやぶさ2」初期分析チームが作成したサンプル形状データ(座標データ)を3Dプリンター専用ソフトに入力。その際に、造形しやすい向きやサイズ変更(縮尺変更)をおこなう。
(2) 次に、レプリカが造形中に倒れないようにサポートと呼ばれる支持部分を形状データに組み込む。
(3) 最後に積層ピッチとよばれる解像度を設定し造形を開始。積層ピッチは試料を1層ごとに積層していく高さを決めるもので、今回の造形では、1倍の試料レプリカは1層50μm、10倍の試料レプリカは1層200μmの間隔で積層をおこなっている。

レプリカの製作時間は、実物大のもので1個9分、10倍サイズでは1個11時間程度かかりました。レプリカ製作の様子を図4、図5に示します。


図4 実物大レプリカの製作の様子(©JAXA)


図5 10倍サイズのレプリカの製作の様子(©JAXA)

実物大のレプリカは16個並べた形状データで造形をおこない、1造形が約2時間30分かかっています。10倍サイズのレプリカは4個並べた状態且つデュアルヘッド3Dプリンターで造形しており、1造形が約22時間かかっています。



はやぶさ2プロジェクト
2022.06.10