トピックスリュウグウの形状モデル初期バージョン
が完成

小惑星リュウグウの全体像をご紹介しましたが、「はやぶさ2」プロジェクトの形状モデルチームでは、ONC-T(望遠の光学航法カメラ)で撮影した画像などをもとに、リュウグウの三次元形状を計測して、形状モデルを作成する作業を進めています。リュウグウの形状は、この小惑星の成り立ちを考える上で基本的な情報の一つであるとともに、今後の探査機の運用のためにも重要です。

形状モデルチームでは、まず、探査機のリュウグウ到着までの間に撮影された画像を用いて、最初のリュウグウの三次元形状モデルの作成を行いました。この形状モデルデータを使い、コンピュータグラフィックスで自転するリュウグウの姿を動画にしましたものが図1、図2です。

  • 図1 会津大によるリュウグウの形状モデル。
    画像クレジット※1:会津大, 神戸大(形状モデル作成), Auburn University(動画作成), JAXA

  • 図2 神戸大によるリュウグウの形状モデル。
    (注:画像が左右反転になっていたものを修正しました。 2018.07.11)
    画像クレジット※2:神戸大, 会津大(形状モデル作成), Auburn University(動画作成), JAXA

形状モデルチームでは、同じ画像データから、二つの異なった方法で形状モデルを作成しています。一つ目の方法は、Structure-from-Motion(SfM)と呼ばれるステレオ視の手法の一種です。最近よく見かける、ドローンからの空撮の映像から地形や建物の形を作成するのにも用いられています。図1に示されているモデルがこの方法で作成されたものです。もう一つの方法は、Stereophotoclinometry (SPC)と呼ばれるもので、「はやぶさ」探査機が訪問した小惑星イトカワの形状を調べるのにも用いられました。図2に示されているモデルがこの方法で作成されたものです。二つの形状モデルデータを比較することで、リュウグウの形状をどの程度の精度で計測できているかを把握することができます。それぞれ細かい差異はありますが、どちらもそろばんの珠のようなリュウグウの全体形状や、その表面にあるクレーターのような窪地、岩塊が再現できていることがわかります。

今後の観測により解像度の高い画像が得られるとより詳細なリュウグウの三次元形状を明らかにすることができます。


※1 画像を引用する場合にはクレジットを記載してください。もしクレジットの短縮が必要な場合は「会津大,JAXAなど」と表記してください。
※2 画像を引用する場合にはクレジットを記載してください。もしクレジットの短縮が必要な場合は「神戸大,JAXAなど」と表記してください。

はやぶさ2プロジェクト
2018.07.11