トピックスCEDECで「はやぶさ2」の
講演をしました。

2016年8月24日から26日にかけて、横浜のパシフィコ横浜会議センターにてCEDEC 2016という会合が開催されました。CEDECとは、Computer Entertainment Developers Conferenceの略で、一般社団法人コンピューターエンターテインメント協会(CESA)主催の会合です。より分かりやすい言葉で言えば、コンピュータゲームの会合と言ってよいでしょう。ただし、ゲームをする方ではなくて、ゲームを作る方です。

このCEDECに「はやぶさ2」のメンバーが招待されて講演をしました。実は2011年にも、当時のはやぶさ2プロジェクトマネージャであった國中均教授が講演をしています。今回は「はやぶさ2」が打ち上がった後の講演ということになります。

もちろん、コンピュータゲームと「はやぶさ2」は分野が全く異なりますが、両方ともソフトウェアが重要ということでつながります。ということで、「JAXA小惑星探査機はやぶさ2のソフトウェア」というタイトルで1つのセッションの時間帯をいただいて講演をしました(2016年8月24日、16:30〜17:30、CEDECメインホールにて)。講演者は、佐伯孝尚プロジェクトエンジニア(以下PE)、澤田弘崇主任研究開発員、三桝裕也研究開発員、山本幸生助教の4名です。

最初に、佐伯PEら講演者メンバーの紹介がありました。ゲームについてのコンフェレンスということで、紹介の中で各自の好きなコンピュータゲームの名称にも触れるという気配りもあり、1000人もはいるメインホールに集まった多くの聴講者もリラックスして聞いていただけたようです。話のテーマは次のようになります。

佐伯:「はやぶさ2」プロジェクトの概要説明
澤田:サンプル採取装置や分離カメラについての説明
三桝:探査機の姿勢軌道制御系の仕組みの説明
山本:地上におけるデータ処理やデータアーカイブについての説明

コンピュータゲームの分野とは全く異なりますが、講演の後には探査機のソフトウェア開発についていくつか質問が出るなど、多くの皆さんに関心を持っていただけたと思います。

  • 写真1 講演の様子
    演台(スクリーンにも映っている)が佐伯。 下段右から山本、澤田、三桝。(事務局撮影)

一方、参加した「はやぶさ2」プロジェクトのメンバーの方もこのCEDEC 2016からは非常に刺激を受けました。今回は、特にVR(バーチャルリアリティ)の最新の技術が目立っていましたが、単に視覚に訴えるだけでなく、嗅覚や触覚などへもVRの新たな手法が生み出されつつあるということは驚きでした。前庭神経に直接電気信号を与えて、疑似感覚を作ってしまおうというものもあり、「はやぶさ2」のメンバーも実際に体験させてもらいました。

普段の仕事では全く関係のない分野ですが、新しい発想を得るためにも時には別の分野に触れることは有意義だと思います。このコンフェレンス初日の最初に、金出武雄氏(カーネギーメロン大学、ロボット研究所、ワイタカー記念全学教授)による基調講演がありましたが、様々な挑戦をされてきたという話の中で、発想は素人であることが重要という内容の話がありました。専門的にずっと突き詰めていると、斬新な発想が浮かばなくなるということですが、まさに宇宙探査の世界でも同じことが言えると思います。今後も異なる分野の皆さんと交流を持つことで、相互に刺激し合って新しい進展を見いだして行ければよいと思います。

はやぶさ2セッションにご尽力頂いたCEDEC事務局の南野様、麓様、またこのような機会を与えていただきましたCEDEC 2016の関係者の皆さまに感謝いたします。

参考:
CEDEC 2016のWebサイト: http://cedec.cesa.or.jp/2016/index.html
はやぶさ2の講演について: http://cedec.cesa.or.jp/2016/session/ENG/14751.html

はやぶさ2プロジェクト
2016.09.14