トピックス赤外分光計(NIRS3)による地球・月観測

NIRS3は地球スイングバイの前後に地球と月の観測を行いました。その際に取得した観測データの一部を下の図に示します。NIRS3は視野に入った光を分光して波長ごとの光の強さ(スペクトル)を測る観測装置です。グラフはその取得したスペクトルを左から右へ順に並べて表示しています。このグラフからNIRS3が深宇宙を指向していた時には全く光が受かっていないのに対し、地球と月の指向時にはそれぞれ光を検出していることがわかります。また月観測では全波長範囲で光を検出しているのに対し、地球観測では波長2.5-3.2 µmの光が検出されていません。これはその波長の光が地球大気の水分子に吸収されていることを意味しています。NIRS3は小惑星上で水分子を含む鉱物がどのように分布しているかを調べることが目的であり、今回の観測でその目的を実現するための性能を確認することができました。

  • 図:2015年11月26日にNIRS3が取得した地球と月のスペクトルデータの一部

NIRS3は以下の大学・研究機関の協力によって開発・運用されています:宇宙航空研究開発機構(JAXA)、会津大学、関西学院大学、東北大学、総合研究大学院大学、千葉工業大学、愛知東邦大学、国立環境研究所、国立天文台、国立極地研究所、日本原子力研究開発機構、名古屋大学。