ミッション工学成果

「はやぶさ2」は、2014年12月3日に打ち上がりました。打ち上げ後、宇宙空間で各機器が正常に動くことを確認し、その後、イオンエンジンの運転も行いました。そして2015年12月3日に地球の引力を利用したスイングバイを行い、その後、小惑星に向けてイオンエンジンで加速しながら飛行を続けます。

目的地である小惑星Ryuguへの到着は、スイングバイを行ってから約2年半後の2018年を予定しています。到着後の計画は次の通りです。(順序は変更される可能性があります)

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    まず小惑星の周囲に滞在しながら、多バンド可視カメラ、レーザ高度計、近赤外分光計、中間赤外カメラを使って小惑星の詳細な観測を行います。

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    小型ローバのMINERVA-IIや小型着陸機のMASCOTを降ろして、小惑星表面の直接観測を行います。

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    表面物質を採取するタッチダウンの候補地や、人工クレーターを作る候補地を決定します。

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    表面にタッチダウンし、物質を採取します。可能ならば異なる場所に2回タッチダウンします。

上記は、基本的には「はやぶさ」のミッションで行った内容と似ています。上記の一連の作業が終わった後で、衝突装置を使って小惑星表面に人工クレーターを作るという「世界初」の実験を行います。この実験の計画は次の通りです。

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    探査機母船(以下、母船)から、衝突装置を分離します。

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    母船から、小型のカメラを分離します。

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    母船は、衝突装置が爆発した破片や小惑星表面から放出される岩石の破片に衝突しないように、小惑星の陰に避難します。

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    衝突装置は小惑星の上空で爆発し、2kgほどの銅の塊を小惑星に打ち込み、人工クレーターを作ります。

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    母船から切り離された小型のカメラが、この爆発と人工クレーター形成の様子を撮影します。

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    母船はいったん小惑星から離れて安全を確認したあと、小惑星へ再接近して人工クレーターの観測を行います。

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    母船が人工クレーター付近にタッチダウンして、地下物質のサンプリングを試みます。

「はやぶさ2」は、これらの観測・実験を行ったあと、2020年末に地球に帰還する予定です。カプセルは秒速約12kmで地球大気に突入し、上空でパラシュートを開いて減速して着地します。そして、カプセルを回収し、日本に持ち帰り、開封して分析が始まることになります。