トピックス小惑星2001 CC21による掩蔽が観測されました!

続報(2023年3月14日)があります。

昨年末の記事でアナウンスしましたように、「はやぶさ2」がフライバイ探査を行う小惑星2001 CC21(以下、CC21と記載)が、現在、観測の好機となっています。2023年3月5日に中国・四国地方で行われた掩蔽観測キャンペーンでCC21が恒星を隠す掩蔽(恒星食)が観測されました。観測では、きりん座の10.1等星(TYC4082-00763-1)の光をモニターし、この星からの光が減光するかどうかを確認しました。18地点から観測が行われましたが、その中の一つの地点で減光が観測されたのです。

減光を観測したのは、予報掩蔽帯の中心から1.4km離れた地点で観測を行った井田三良さんで(図1)、21時46分頃、0.127秒の減光を確認しました(図2a ,2b)。この減光時間から、小惑星のある断面のある一つの幅(弦)が543m ±12mと計算されました。CC21はその大きさが700mくらいではないかと推定されているので、大きさとしては整合しています(図3)。

この観測により、CC21の軌道精度は飛躍的に向上することが期待できます。このことは、「はやぶさ2」がCC21をフライバイする運用を行うときにより確実性が増すことになるだけでなく、さらに今後の掩蔽観測を精度よく行うことで、小惑星の形状まで求めることができるかもしれません。形状が推定できれば、フライバイのときの観測計画にも反映できる可能性があります。さらなる掩蔽の観測に期待したいと思います。

掩蔽観測では、吉田二美氏(産業医科大学/千葉工業大学惑星探査研究センター)と早水勉氏(佐賀市星空学習館)を中心とした「プロ・アマ共同掩蔽観測チーム」に非常に活躍していただいています。これまで、今年の1月10日、2月6日、2月8日に観測の機会がありましたが、天候の悪い日もあり掩蔽は観測されていませんでした。今回は4回目の挑戦として成功したわけです。この場を借りて御礼いたします。

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図1 予報掩蔽帯(赤色の帯)と掩蔽が観測された地点(青色で示したところ) (©早水勉)


図2a 恒星の明るさの変化(ライトカーブ)のデータと減光の瞬間の測定。(©井田三良)


図2b 恒星の明るさの変化(ライトカーブ)のデータと復光の瞬間の測定。(©井田三良)


図3 整約図(暫定版)。一つの掩蔽のデータだけでは小惑星の形(一つの断面の形)は分からないので、この図は小惑星の形として仮に直径600mの円形をあてはめている。(©早水勉)


はやぶさ2拡張ミッションチーム
2023.3.6