トピックス「IAF World Space Award」受賞

 はやぶさ2チームが、今年(2021年)の「IAF World Space Award」を受賞しました。IAFはInternational Astronautical Federation(国際宇宙航行連盟)という名称の組織で、平和目的の宇宙航行の発展や研究を促進する国際的な活動を行っています。「IAF World Space Award」は、IAFが宇宙開発の分野で顕著な成果を上げた個人やグループに授与している賞です。
 7月に、はやぶさ2チームが今年のIAFの「World Space Award」を受賞することが決定されたという連絡がありました。そして、10月25日にアラブ首長国連邦のドバイで開催された第72回 International Astronautical Congress(IAC、国際宇宙会議)の開会式で、受賞式が行われました。受賞式では、広い会場に集まった多数の参加者前で、「はやぶさ2チーム」の名前が呼ばれ、プロジェクトを代表して津田雄一プロジェクトマネージャとJAXAの山川宏理事長が登壇し、賞状とメダルを受け取りました。その後、津田プロマネが受賞の挨拶を行いました。


受賞式において「はやぶさ2チーム」の名前が呼ばれたところ。
(©JAXA)


受賞式にてステージに登壇した津田プロマネ(右)と山川理事長(右から2番目)。
(©JAXA)


受賞式で挨拶をする津田プロマネ。
(©JAXA)

 「IAF World Space Award」は宇宙開発の分野では非常に注目されている賞です。たとえば2019年の受賞者はアポロ11号の乗組員ですし、2020年は中国のChang’e 4(嫦娥4号、月の裏側に着陸したミッション)の3人のリーダーが受賞しています。このような賞を「はやぶさ2チーム」が受賞できたことは非常に光栄です。
 IACでは、受賞式の他に、津田プロマネがHighlight Lectureとして受賞記念の講演を行いました。津田プロマネが「はやぶさ2」ミッションの成果について約1時間の講演を行うと、講演後には津田プロマネの周りに質問のための長い列もできました。また、10月29日に行われた閉会式でも、再度「はやぶさ2チーム」が紹介されました。
 このように、世界的にも「はやぶさ2」は非常に注目されています。今後、リュウグウのサンプルの分析結果が発表されて、科学的にも注目されることを期待したいと思います。




受賞した賞状とメダルを持つ津田プロマネ(右)と吉川ミッションマネージャ(左)。
IACのJAXAブースにて。
(©JAXA)


受賞した賞状とメダル
(©JAXA)

参考:
IAF World Space Award:https://www.iafastro.org/activities/honours-and-awards/iaf-world-space-award/
HAYABUSA2 TEAMについて:https://www.iafastro.org/activities/honours-and-awards/iaf-world-space-award/hayabusa2-team.html



補遺(by 吉川真):
 コロナ禍のため、昨年以来、学会や研究会は中止かオンライン開催でしたが、受賞式があった第72回 International Astronautical Congressは、久々の対面でのイベントになりました。JAXAからは限られた人数の参加となり、はやぶさ2プロジェクトからは津田プロマネと吉川(ミッションマネージャ)の2人のみの参加となりました。このような素晴らしい受賞式に、多くのプロジェクトメンバーが参加できなかったことは残念でした。また、「はやぶさ2」からの研究発表も十数件ありましたが、これを2人で手分けして対応することになったり、JAXAブースでプレゼンをしたり、さらには海外の人からの質問攻めに対応したりで、かなり忙しい学会となりました。ちなみに、全体では発表者の9割近くが現地で参加しており、やはり多くの人が対面での会合を待ちわびていたようでした。
(JAXA佐々木理事のインタビューとJAXAブースの様子:
https://twitter.com/DXBMediaOffice/status/1454150565924065289


IACの展示エリアに設置されたJAXAブース。
(©JAXA)

 現地のドバイでは、ちょうどドバイ万博(EXPO 2020 DUBAI)も開催されていました。その日本館には、はやぶさ2プロジェクトも少しだけ協力しました。展示の中に宇宙の中を飛行しているような映像があるのですが、そこに「はやぶさ2」やリュウグウが表示されます。また、「はやぶさ2」の小さな模型やマンガ化された画像も使われていました。


ドバイ万博の日本館。この建物と、はやぶさ2プロジェクトは少し縁があります。この日本館を設計された建築家の永山祐子さんと津田プロマネが、JAXAの機関誌「JAXA's」の83号で対談をしています。
(©JAXA)


宇宙をイメージした映像に現れた「はやぶさ2」探査機と小惑星リュウグウ。
(©JAXA)


「はやぶさ2」の小さい模型やマンガ化された「はやぶさ2」。
右は、館内で貸与されるタブレットに表示されたものです。
(©JAXA)

 コロナ禍でいろいろな制約がありますが、ドバイの皆さんにも「はやぶさ2」を知ってもらえることは、プロジェクトとしても非常に嬉しく思います。


JAXA はやぶさ2プロジェクト
2021.12.27