トピックスNASA JSCに「はやぶさ2」用
クリーンルームが完成

JAXAの「はやぶさ2」探査機が、2020年12月6日に、始原的なC型小惑星リュウグウの表面から、初めて物質を持ち帰りました。JAXA・NASA間で結ばれたMOU(了解覚書:Memorandum of Understanding)では、「はやぶさ2」が持ち帰ったサンプルの10%である約500mgをNASAに提供されることになっています。提供は2021年12月の予定ですが、そのサンプルがヒューストンにあるNASAのジョンソン宇宙センター(JSC)内の宇宙物質キュレーション部門(Astromaterials Acquisition and Curation Office)に送られてくるのを楽しみに待っているところです。

リュウグウのサンプルについてのキュレーションのための検査や記載作業のすべては、NASA JSCの「はやぶさ2」のサンプル専用のクリーンルームで行われます。このクリーンルームの設置作業が完了しました。JSCでは、アポロ計画で持ち帰った月の石や、その他すべてのサンプルリターンミッションによるサンプルのキュレーションを行っています。




NASA JSCに完成した「はやぶさ2」サンプル用クリーンルーム。
現在、クリーンルームとしての条件を満たしていることのチェック中で、まだ室内は何も置かれていない。
今後、各種機材が設置される予定である。(©NASA JSC)



NASAの「はやぶさ2」クリーンルーム(ISO5規格)は、サンプルを有機汚染から守り、また室温の変化、湿度を最小限に抑えた設計になっています。JAXAにあるキュレーション施設と同じように、NASAでもリュウグウのサンプルは専用に設計されたグローブボックスの中で取り扱われ、粒子や脱ガスによる汚染を最小にした不活性ガス中に保管されることになります。


中村圭子(NASA JSC)
2021.07.29