トピックス「タッチダウンのためのターゲット
マーカ投下運用」(PPTD-TM1A)について

5月14 日〜16日 に行いましたPPTD-TM1運用では、探査機が高度約50mまで降下したとき、探査機の自律判断で降下を中止して探査機は上昇しました。これは、レーザ高度計(LIDAR)の距離計測が正しく行えなかったため探査機がアボートしたものです。このために、ターゲットマーカを投下することはできませんでしたが、低高度にて人工クレーター周辺を撮影することはできました。この結果を受けて、再度、ターゲットマーカを投下する運用を行います。運用の名称はPPTD-TM1Aです。これは、PPTD-TM1とほぼ同じ運用の2回目という意味です。(PPTDとはピンポイントタッチダウンで、TM1は1つ目のターゲットマーカを投下するという意味です。)

前回のPPTD-TM1では、S01と名付けた領域へ降下してターゲットマーカを投下する予定でした。今回のPPTD-TM1Aでは、S01の近くのC01にターゲットマーカを投下します。C01は衝突装置(SCI)が生成した人工クレーターを含む領域です。場所は図1に示します。


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    図1 SCI衝突地点付近。画像は人工クレーターを作る前に撮影したもの。
    (図のクレジット:JAXA、東京大、高知大、立教大、名古屋大、千葉工大、明治大、会津大、産総研)

図1は前回示したものと同じでもので人工クレーターを作る前の画像で領域を示したものですが、PPTD-TM1運用で上昇するときに撮影した画像を用いて示したものが図2です。人工クレーター付近がより鮮明に把握できます。PPTD-TM1運用で得られた画像を使ってC01領域についてかなり詳しく調べることができました。その結果、この領域へのタッチダウンの可能性はあることが分かりました。それで、今回の運用はC01の領域に降下をし、ターゲットマーカを投下することにしました。


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    図2 PPTD-TM1運用で撮影した人工クレーター周辺。高度約0.5kmおよび約0.6kmから撮影した2枚の画像を重ねたものである。望遠の光学航法カメラ(ONC-T)によって2019年5月16日に撮影された。
    (図のクレジット:JAXA、東京大、高知大、立教大、名古屋大、千葉工大、明治大、会津大、産総研)

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    図2の背景画像 (左) 高度約0.5kmより。撮影時刻:2019年5月16日、11:36(機上、日本時間)。(右) 高度約0.6kmより。撮影時刻:2019年5月16日、11:39(機上、日本時間)。
    (図のクレジット:JAXA、東京大、高知大、立教大、名古屋大、千葉工大、明治大、会津大、産総研)

PPTD-TM1A運用は2019年5月28 日〜30日に行います。運用の仕方は、PPTD-TM1運用とほぼ同じです。28日は降下準備作業を行い、5月29日の12:06(機上、日本時間、以下同様)から、探査機は0.4m/sの速度で降下を開始します。同日の22:26には速度を0.1m/sに減速します。そのまま降下を続けて、5月30日の11:00に高度約35m、そして11:23に最下点である高度約10mに達します。最下点に達する直前にターゲットマーカを分離します。探査機はすぐに上昇に転じ、5月31日にホームポジションに戻ります。運用のスケジュールを図3に示します。なお、ここに記載した時刻は計画値ですので、実際の運用の時刻は異なる場合があることにご注意ください。


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    図3 PPTD-TM1A運用の模式図(図のクレジット:JAXA)。
    注)ここに記載した時刻は、実際の運用と異なる場合がある。

図4には、低高度でのシーケンスを示します。これもPPTD-TM1運用とほぼ同じです。


はやぶさ2プロジェクト
2019.05.27