トピックスこちら「はやぶさ2」運用室:No.18

「はやぶさ2」の小惑星遷移軌道(改訂版)を公開します


打ち上げから小惑星リュウグウ到着までの「はやぶさ2」の軌道を改定しました。データを公開しますので、ご利用ください。

はやぶさ2小惑星遷移軌道計画情報(改訂版):Trajectory_20180226.txt
 (UTF-8、改行コードCR+LF)

このデータには、「はやぶさ2」、地球、リュウグウの位置が1日ごとに示されています。データの期間は、「はやぶさ2」が打ち上げられた2014年12月3日からリュウグウ滞在の最後の頃になる2019年12月9日までです。ただし、小惑星遷移軌道としては2018年5月31日までで、それ以降は「はやぶさ2」の位置はリュウグウと等しくなっています。つまり、リュウグウの周りで「はやぶさ2」がどのように動くかについては、このデータでは表現されていません。リュウグウの周りで「はやぶさ2」がどのような動きをするかは、リュウグウ到着後に決定されます。

ここで公開していますデータは、「はやぶさ2」がどのような軌道でリュウグウまで行くのかについて、図やCGを作製するときや教材などにご利用ください。数値の精度は、0.0001au(約15,000km)です。これは太陽系を俯瞰した軌道図を描くためには十分な精度となっています。この軌道精度よりも高精度の議論にはこのデータは使えませんのでご注意ください。

以下でデータについて説明します。軌道データに慣れている人は、以下はスキップして、直接データファイルを見ていただいて構いません。

データの各行がUTCのコラムに書かれた日時におけるデータになります。UTCとは協定世界時(Coordinated Universal Time)のことで、日本時間に変換したい場合にはUTCの時刻に9時間を足してください。また、UTCのコラムの次に書かれている「L+」とは、打ち上げ日から数えた通算日となります。ここでLは打ち上げ(Launch)のことです。

続いて、「はやぶさ2」、地球、リュウグウの座標値(x,y,z)が書かれています。数値の単位は天文単位(au:astronomical unit)です。1auは地球と太陽の間の距離で約1億5千万kmです。正確には、1au=149597870700mとなります。また、この座標値は黄道座標系に準拠したものです。x-y平面が地球の公転面(黄道面)にほぼ一致しているので、地球の軌道面からあまりずれていない(zの値が小さい)天体の軌道を描くときには、(x,y)の平面に描くと軌道の様子を把握できます。(黄道座標系の詳しい説明は天体の軌道についての参考書などを参照してください。)

このデータファイルには、さらに次の値も記載されています。
  Rs : 「はやぶさ2」と太陽の距離
  Re : 「はやぶさ2」と地球との距離
  Ra : 「はやぶさ2」とリュウグウとの距離
  Vs : 「はやぶさ2」の巡航速度(太陽相対速度)
  Ve : 「はやぶさ2」の地球相対速度
  alpha : 地球から見た「はやぶさ2」の赤経
  delta : 地球から見た「はやぶさ2」の赤緯
  Dflt : 「はやぶさ2」の総飛行距離
これらの値からもいろいろと面白いことが分かると思います。

この軌道のデータを使って、「はやぶさ2」をさらに楽しんでいただければ幸いです。

※課題?
公開しましたデータを使って軌道図などを描くほかに、たとえば「はやぶさ2」が最終的に小惑星に接近するときに「はやぶさ2」のリュウグウに対する相対速度を計算してみるとか、さらに軌道の知識がある方は二体問題で「はやぶさ2」の運動を計算した場合のずれなどを計算してみると面白いかもしれません。「はやぶさ2」の場合には、地球スイングバイをしたりイオンエンジンで加速をしたりしていますので、太陽の周りの単純な二体問題による運動とは異なる場合があります。

※参考 惑星や小惑星の軌道情報は、例えば、米国のジェット推進研究所(JPL)の、
  HORIZONS System
からも取得することができます。

はやぶさ2プロジェクト M.Y.
2018.02.28

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「はやぶさ2」は,人類が訪れたことのない小惑星「リュウグウ」との往復航行をする宇宙船です.どんな冒険が待ち受けているか誰にも分からないけれど,きっと面白い航海になるはずです。どんな旅をするか,楽しみにしていてください。
(プロジェクトマネージャ 津田雄一)