トピックス「オサイリス・レックス」地球スイングバイ観測
キャンペーン報告

米国の小惑星探査機「オサイリス・レックス」(OSIRIS-REx、“オシリス・レックス”とも表記)が9月22日(世界時)に地球スイングバイをしました。そのときに地上から探査機を観測するキャンペーンを行いました(アナウンス文は こちら )。「はやぶさ2」の地球スイングバイ観測のときと同様に日本公開天文台協会(JAPOS)と日本惑星協会(TPSJ)の皆さんに協力していただき、今回も多数の観測に成功しました。観測に挑戦していただきました皆さま、キャンペーンに協力していただきました皆さま、どうもありがとうございました。

撮影された画像は、JAPOSおよびTPSJのWebに掲載されていますのでご覧ください。

最初に観測成功の一報が入ったのは9月19日の昼間でした。その前の晩の9月18日の夜に鳥取市さじアストロパークの口径103cm反射望遠鏡(愛称:キラット望遠鏡)にて観測が成功したということです。このときの探査機の明るさは20.5等で、距離は地球から224万kmの彼方にあったということです。

9月20日にはオーストラリアのリモート望遠鏡を使った観測で撮影が成功したという報告が1件ありました。そして9月21日の晩には、8カ所から撮影が成功したという報告がありました。そのうちの1つが「はやぶさ2」Webでも報告しました 美星スペースガードセンターでの観測 です。そして、スイングバイ当日の9月22日、関東地方など雨模様の天気の所も多かったのですが、北海道や中国地方など10カ所で観測が成功しました。

現時点でまだ報告を受けていない観測もあるかもしれませんが、海外のリモート望遠鏡による観測も含めてJAPOSとTPSJには20件の観測成功の報告があったことになります。日本での観測成功についてはオサイリス・レックスチームにも伝えましたが、「This is wonderful!」という返事が返ってきました。

このように日本から多くの皆さんにオサイリス・レックスの小惑星行きを見送っていただきました。オサイリス・レックスチームによると、地球スイングバイは成功したということです。オサイリス・レックスが目的の小惑星Bennu(ベンヌあるいはベヌー)に到着するのは来年(2018年)の夏です。「はやぶさ2」のリュウグウ到着に続いての小惑星到着となります。来年は、2機の探査機がそれぞれの小惑星を探査するというエキサイティングな状況になります。

参考1:
オサイリス・レックスでは、地球最接近の日より数日前から観測が成功しています。一方、「はやぶさ2」の地球スイングバイでは観測が成功したのはスイングバイ当日のみでした。これは、「はやぶさ2」の場合、スイングバイの前日や前々日は探査機の観測条件が悪かったことと、天候もよくなかったためです。また、「はやぶさ2」のスイングバイ観測を行った経験があるので、オサイリス・レックスの場合にはより的確に観測できた可能性もあるかと思います。

参考2:
惑星探査機による次の地球スイングバイがいつになるのかは現時点では分かりません。一つの可能性としては、JAXAとESAの共同ミッションである水星探査機BepiColombo(ベピ・コロンボ)があります。ベピ・コロンボは来年(2018年)に打ち上げ予定ですが、打ち上げ後しばらくしてから地球スイングバイを行う予定ということです。


はやぶさ2プロジェクト
2017.09.27


※追加情報
オサイリス・レックスの地球スイングバイの地上観測の結果については、2017年10月1日に行われますシンポジウム「天体の地球衝突問題にどう取り組むか2」にて講演が予定されています。
シンポジウムの情報はこちら:
http://www.spaceguard.or.jp/RSGC/sg2017/index.html