トピックス冥王星表面の地名に
Hayabusa Terraという名前が付けられました

たまてばこ vol. 12

2017年9月7日の国際天文学連合(IAU)のプレスリリースで、冥王星表面の地名が決まったという発表がありましたが、その中にHayabusa Terra という地名がありました。これは小惑星探査機「はやぶさ」に因んだ名称です。「はやぶさ2」プロジェクトとしてもこのことは非常に嬉しいことですし、また、光栄なことです。「はやぶさ」プロジェクトそして「はやぶさ2」プロジェクトに関係した一人として、「はやぶさ」の名前を選んでくれたNew Horizons(ニュー・ホライズンズ)ミッションのPI(代表者)のAlan Stern氏や関係する皆さんに感謝したいと思います

  • 図1 国際天文学連合(IAU)のプレスリリース(2017年9月7日)

New Horizonsとは、米国が2006年に打ち上げた冥王星探査機です。約9年半の飛行の後に冥王星をフライバイしたのが2015年7月14日でした。このフライバイの前後で、冥王星本体や衛星のカロン、そしてさらに小さい衛星について多くのデータを取得しました。そのデータを1年以上かけて地球に送ってきたのです(図2)。ちなみにNew Horizonsが打ち上げられたときは、冥王星は惑星に分類されていましたが、その約半年後に準惑星に分類が変わりました。

  • 図2 New Horizonsが撮影した冥王星(©NASA)

惑星表面の地名は、IAUの惑星関連の命名についてのワーキンググループ(WGPSN:The Working Group for Planetary System Nomenclature)で審議されます。今回の発表では、冥王星表面の地形について14の名称が決定されました。決定された名称が記載されている図はIAUのプレスリリース(図1)に掲載されていますが、それを抜き出すと図3のようになります。


  • 図3 冥王星表面に付けられた正式名称(IAUのプレスリリースより)

図3を見ますと、Tombaugh Regioという文字がひときわ大きく書かれていますが、これはもちろん冥王星を発見した米国の天文学者のクライド・トンボーに因んだものです。そしてSputnik PlanitiaとVoyager Terraという名称とともにHayabusa Terraという文字も大きく書かれています。世界初の人工衛星の旧ソ連のスプートニクと米国の惑星探査機ボイジャーと並んでの「はやぶさ」ですから、これは本当に光栄なことです。(他の名称につきましては、IAUのプレスリリースをご覧ください)

実は、「はやぶさ」という名称が冥王星の表面の地名に付けられるかもしれないということは、2年ほど前から把握していました。"Informal Names for Features on Pluto" (冥王星の特徴についての非公式名称)というものが発表されたからです。これは今でも https://www.jpl.nasa.gov/spaceimages/details.php?id=PIA19863 のページで見ることができます。このページを見ると、「○○Terra」と名付けられているものとしては正式名称となったVoyagerとHayabusa以外に、Venera、Viking、Pioneerがあります。まさにそうそうたる惑星ミッションです。「はやぶさ」がこのようなミッションの中に入れてもらえたことは、世界でも「はやぶさ」を高く評価してもらっている証だと思います。

今後、冥王星やその衛星の表面地形の名称としてどのような名前が付けられるのか楽しみです。また、「はやぶさ2」も「はやぶさ」に勝るとも劣らないミッションにして、世界の人から認められるものにしたいですね。


参考)
冥王星の衛星カロンについても、表面地形の非公式名称 "Informal Names for Features on Pluto's Moon Charon"https://www.jpl.nasa.gov/spaceimages/details.php?id=PIA19864)のページがあります。こちらにも日本由来の名前があります。


はやぶさ2プロジェクト 吉川 真
2017.09.08