トピックスリュウグウを下見する?

たまてばこ vol.1

「はやぶさ2」プロジェクトのWebで、「たまてばこ」シリーズを始めます。「はやぶさ2」に関連して、あまり専門的ではないことも含めて、いろいろな話題を皆さんにご紹介するものです。「はやぶさ2」の「たまてばこ」から何が飛び出すか、お楽しみに。

さて、「たまてばこ」初回は、やはり竜宮城ですね。「はやぶさ2」が目指す小惑星は、仮符号では1999 JU3と呼ばれていましたが、2015年10月にリュウグウという名前が付きました。浦島太郎にでてくる竜宮城にちなんだ名前ですが、この「たまてばこ」シリーズの「たまてばこ」は、もちろんこのリュウグウにちなんだネーミングです。

そのリュウグウに下見に行ってきました。と言っても、小惑星リュウグウに下見に行くことはできないので、兵庫県の日本海にある龍宮城です(現地のパンフレットには「龍宮」の漢字が使われていましたのでこの島を指すときには、龍宮城と書くことにします)。本当の名前は後ヶ島(のちがしま)というそうですが、日和山(ひよりやま)海岸から見ることができます。写真1を見ると、小さな島の上に何かあります。

  • 写真1

拡大してみると(写真2)・・・

  • 写真2

・・・確かに竜宮城のようなものが。本当の竜宮城は海の底にあるはずですが、こちらは小島の上の小さなお城ですね。後ヶ島は、写真ですとあまり大きさが分かりませんが、700m沖合にあり周囲が500mほどの島だそうです。周りも非常に美しい海岸になっています(写真3)。

  • 写真3

この日和山海岸は山陰海岸ジオパークの中にあり、写真のようにリアス式の岩礁海岸になっています。変化に富んでいて非常に美しい海岸ですね。

さて、竜宮城というと“絵にもかけない美しさ”ですが、こちらの龍宮城はそばにある日和山海岸ガイドセンターの中から見ると、まさに風景が絵になってみえます(写真4)。

  • 写真4

“龍宮城”を訪れたのは、2016年3月のとある日ですが、その日は朝から雪交じりの雨。しかし、龍宮城に到着した瞬間に晴れました。写真のように雲は多かったですが、美しい自然の中にくっきりと龍宮城が見えたわけです。「はやぶさ2」が小惑星リュウグウに到着したときにも、視界良好でリュウグウがはっきりと見えるとよいですね。

さて、“龍宮城”を見に行くのも目的の一つではあったのですが、真の目的はそばにある柱状節理というものを見学にいくことでした。場所についてお話ししていませんでしたが、降りた駅はJR山陰本線の城崎(きのさき)温泉駅。その名の通り温泉で有名なところです。駅から海岸に向かえば日和山海岸に出て龍宮城を見ることができますが、逆方向(内陸の方)に同じくらいの距離を行ったところに、玄武洞公園という場所があります。ここも山陰海岸ジオパークの一部です(写真5)。

  • 写真5

ここに有名な柱状節理があるのです。石のことに興味がないと「柱状節理」と聞いてもピンとこないと思いますが、まずは玄武洞の写真そのものを見ていただくのがよいですね(写真6)。

  • 写真6 玄武洞

柱状節理とは、この写真のように岩石が柱のような形状になっているもので、これはマグマが冷えて固まるときに柱状になったものです。ここには、5角柱から8角柱まで存在しているということです。また、約160万年前に起こった火山活動で流れ出したマグマが冷え固まって作られたということです。玄武洞公園には、写真5の看板の図にありますように、5カ所でこのような岩石が露出しています。すべて、写真を撮ってきましたので、示します(写真7〜10)。

  • 写真7 北朱雀洞
  • 写真8 南朱雀道
  • 写真9 白虎洞
  • 写真10 青龍洞

最後の青龍洞の柱状節理もすごいものですね。まさに地球の神秘を感じます。玄武洞公園でこのように柱状節理が露出している理由は、人が石を利用するために掘削したためということです。ここの岩石の種類は、玄武岩。そもそも玄武岩という名称は、この玄武洞から来ているそうですね。

もちろん、小惑星リュウグウにはこのような種類の岩石はないはずです。ですが、別の種類の岩石があり、それを調べることで太陽系誕生時にどのような天体が生まれたのか、そして含まれる成分から、地球を作る成分や地球の水や生命に関係する情報が得られるはずです。たかが“石”なのですが、重要ですね。ちなみに、「はやぶさ2」プロジェクトには、この玄武洞の石を使った研究で博士論文を書いた人もいます。小惑星リュウグウのサンプルからも沢山の博士論文が出るとよいですね。

最後に、楽しい写真を2枚、挙げておきます(写真11、12)。

  • 写真11 玄武洞公園の中にて
  • 写真12 城崎温泉駅前にて

※写真はすべて筆者の撮影による。

はやぶさ2プロジェクト 吉川真
2016.03.30

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「はやぶさ2」は,人類が訪れたことのない小惑星「リュウグウ」との往復航行をする宇宙船です.どんな冒険が待ち受けているか誰にも分からないけれど,きっと面白い航海になるはずです。どんな旅をするか,楽しみにしていてください。
(プロジェクトマネージャ 津田雄一)