トピックスこちら「はやぶさ2」運用室:No.10

はやぶさ2 Ryuguへ向けてイオンエンジンによる動力航行開始!


はやぶさ2は,本日(2016年3月22日)日本時間22時55分に,搭載された4基(A~D)のイオンエンジンのうちA,C,Dの3基の運転を開始しました. はやぶさ2は地球スイングバイ後,一路Ryuguを目指して飛行中です.2018年夏のRyugu到着に向けて,数か月間のイオンエンジン連続運転を全部で3回予定していますが,今回はその第1回目です.

今回の軌道制御は,およそ800時間イオンエンジンを稼働させ,5月中旬に完了する予定です.この軌道制御による増速量は毎秒120m(=時速440km相当)で,はやぶさ2の飛行方向に向かって噴射するので,瞬時的には飛行速度は減少します(逆に,長期的には軌道周期が短くなり飛行速度が速まるのが,軌道力学の面白いところです).

イオンエンジンの噴射方向は,軌道設計によって厳密に調整しなければなりません.そのために,はやぶさ2は1週間ごとにイオンエンジンを数時間止めて,その間に探査機の姿勢を変更し,イオンエンジンの向く方向を調整します.また,正確に探査機の位置,速度を決める「精密軌道決定」も予定しています.

現在はやぶさ2は,日本からは見えない地球の南半球方向を飛行しており,南半球の地上局(米国NASAキャンベラ局 と,欧州ESAマラルグエ局)を使って管制されています.

はやぶさ2プロジェクト Y. T.
2016.03.22

  • 図1:はやぶさ2の往路軌道(概略説明図)
  • 図2:はやぶさ2の正確な軌道図(太陽中心慣性座標系で表示)
    AUは天文単位(1AU=太陽と地球の距離1.5億km)を表す