トピックス「はやぶさ2」アウトリーチ活動についての
天文学会での発表内容

「はやぶさ2」のアウトリーチ活動(スイングバイ観測キャンペーンと小惑星名称募集)について、日本天文学会2016年春季年会(首都大学東京南大沢キャンパス)において発表します(発表は2016年3月14日午後)。発表の概要は次のようになります。

1.「はやぶさ2」地球スイングバイ観測キャンペーン
2015年12月3日に「はやぶさ2」が地球スイングバイをしたときに、地上からの観測キャンペーンを行いました。82地点から観測が予定され、36地点で観測が成功しました。図1に、観測が成功した位置をプロットしてみました。皆さんの観測をすべて合わせると、天球上に「はやぶさ2」軌跡が現れました。

  • 図1:観測された「はやぶさ2」の位置をプロットしたもの。図の左から右へと「はやぶさ2」は移動していった。18:58には、「はやぶさ2」が地球の影に入り(日陰)、観測ができなくなった。

さらに、「はやぶさ2」の明るさの変化をプロットしたものが、図2になります。観測が始まった18時前では15等〜16等くらいでしたが、最後には9等ないし8等くらいまで明るくなったことが分かります。惑星探査機が地球スイングバイを行ったときに、これだけ多くの観測がなされたことは初めてだと思います。

  • 図2:地球最接近直前の「はやぶさ2」の光度変化。ここでは、西はりま天文台(高木悠平氏提供)、東京大学木曽観測所(超広視野光速カメラTomo-e Gozenチーム提供)、美星スペースガードセンター(日本スペースガード協会提供)、かわさき宙と緑の科学館(佐藤幹哉氏提供)にて観測されたデータをプロットした。

■講演タイトル1: 「はやぶさ2」地球スイングバイ観測キャンペーンの実施報告
 著者名: 安田岳志(姫路市宿泊型児童館「星の子館」、JAPOS)、三島和久(倉敷科学センター、JAPOS)、井上毅(明石市立天文科学館、JAPOS)、井本昭(日本惑星協会)、山口智宏、吉川真(ISAS/JAXA)

 

■講演タイトル2:「はやぶさ2」地球スイングバイ観測キャンペーンデータの解析
 著者名:吉川真、山口智宏(ISAS/JAXA)、安田岳志(姫路市宿泊型児童館「星の子館」、JAPOS)、三島和久(倉敷科学センター、JAPOS)、井上毅(明石市立天文科学館、JAPOS)、井本昭(日本惑星協会)、奥村真一郎(日本スペースガード協会)

 

2.「はやぶさ2」探査対象小惑星の名称募集
「はやぶさ2」が目指す小惑星には、世界中の人たちから寄せられたアイデアをもとに「Ryugu」という名称がつけられました。 名称案を募集しているときや、名称が決まったとき、地球スイングバイのときに、「はやぶさ2」はどのように話題になったのか、 SNS(Twitter)の解析(テキストマイニング)など(図3)を行って調べてみました。

  • 図3:小惑星「Ryugu」の名称決定発表時のツイート分析。小惑星の名称だけではなく、 「水を含むサンプルを持ち帰る」「生命の起源に迫る」といった、「はやぶさ2」のミッション内容についても言及されていることがわかった。

■講演タイトル3: 「はやぶさ2」がめざしている小惑星の名称案募集とその波及効果
著者名: 矢部あずさ、吉川真、大川拓也、生田ちさと(JAXA 宇宙科学研究所)

日本天文学会年会プログラム・講演予稿集アーカイブ:http://www.asj.or.jp/nenkai/archive/

Y01a 「はやぶさ2」地球スイングバイ観測キャンペーンデータの解析
Y02a 「はやぶさ 2」地球スイングバイ観測キャンペーンの実施報告
Y03a はやぶさ 2」がめざしている小惑星の名称案募集とその波及効果

スイングバイの観測および名称募集にご協力いただきまして、どうもありがとうございました。
はやぶさ2プロジェクト:2016.03.14